青山学院大学では、履修登録を始めとするWebベースのシステムの負荷を下げるために、バラクーダネットワークス(以下、バラクーダ)のロードバランサを導入した。価格が重要だったのは事実だが、複雑なネットワーク構成に耐えうる柔軟性も導入の大きな決め手となった。
導入ユーザー:青山学院大学
1949年に設立された東京都渋谷の私立大学。運営母体の学校法人青山学院は、米メソジスト監督教会の宣教師 が設立した3つの学校を母体とする。神奈川県の相模原市にもキャンパスを持つ。2007年5月時点の学生数は1万 8507名。
学生・教員向けのサービスの拡充とともに
Webサービスへのトラフィックが集中
創立130年を誇る青山学院大学は、来たる少子高齢化時代を見据え、学生サービスやLMS(Learning Management System)などキャンパスのIT化を積極的に推進している。
たとえば、紙のフォームに記入して提出していた履修登録などを、現在は完全にWebブラウザベースのシステムで実現している。学生は自宅のPCやキャンパス内に設置された端末をタッチパネルで操作し、必要な授業を選択し、登録すればよい。青山学院大学では、さらにデータベースに直接問い合わせが行くため、募集人数などの関係で履修できない授業を学生はリアルタイムに知ることができる。このあたりの円熟ぶりは、他の学校に先駆けて学生や教職員向けのサービスをIT化してきた同大学の強みといえよう。
だが、青山学院大学では学生数2万人、教職員2000人という規模を誇っており、こうしたWebサービスには大きな負荷がかかることになる。特に履修登録は4〜5月に集中し、短時間に膨大なトランザクションをさばかなければならない。そのため、複数サーバの負荷分散は必須であった。
これに対して、以前はバックボーンスイッチとして利用していたエンテラシスのL4スイッチを用いて、Webサーバの負荷分散を実現していた。しかし、今回ネットワークを更新するにあたって、バックボーンスイッチは、とにかくノンストップでトラフィックをさばくことに専念させるようにしたという。青山学院大学で事務ネットワークの構築や運用を手がける宮田智広氏は、「過去、履修のピーク時にスイッチがダウンしたことがありました。ロードバランシングはスイッチが片手間でできるようなことではないので、やはり専用の装置が必要だと考えました」と専用機の必要性を語っている。とはいえ、学生や教職員の数、トラフィックを考えると、専用のロードバランサの価格は500万円を超えてしまう。昨今のコスト削減の要件に合わず、導入を躊躇したのが実際のところであった。
(次ページ、機能、コスト、使いやすさ 3拍子揃ったバラクーダのロードバランサ)
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