前回は、「購入プロセス」について話しましたね。今回も同様のことを、切り口を変えて「購買決定要因」という角度から考えてみましょう。
何に人は惹かれるのか
例えば、ミニコンポを購入する場合、人はどこでその購入を決定しているのか考えてみましょう。
(機能)
- MDを聞けるか
- DVDは使えるか
- CD-Rは聞けるか
- 外部入力、出力があるか
(デザイン)
- 自分の部屋に合うか
- 大きさは適当か
- よいデザインか
(価格)
- 機能に比べて高すぎないか
- 支払いはカードでもいいか
ざっと思いつくままにあげても、例えば上記のようなことが考えられます。これらのことを頭の中でぐるぐると回しながら、妥協しながら、気に入ったミニコンポを購入するはずです。
最終的に決定づけるものはなにか
では、こうした要因がすべて同列かというと、そうではないですよね。絶対に譲れない必須要因と、妥協も可能な準要因に分けられます。
カラオケの練習に使うのだったら、「外部入力」、すなわちマイクの接続は必須要因になります。
現金で購入することもできるが、ポイントが溜まるから、できればカードでの支払いがしたいという人にとって「カード支払い」は準要因になります。
必須要因を満たす商品がいくつかあり、その中の一つを選ばせる決定打となるものが「購買決定要因」です。それは人によってデザインかもしれませんし、価格であるかもしれません。
ターゲットにより異なる購買決定要因
これらの要因への優劣は、購入者、ターゲットにより異なります。なぜミニコンポを買うのかという理由が違うからです。したがって、商品をセールスする場合に考えたいことは、まず「客はなぜその商品がほしいのか」ということです。これを考えないで、漠然とセールスするのと、考えてセールスするのとではまったく成果が違ってきます。
ミニコンポを買いたいと来た客に、「これはデザインがよくていいですよ。CD-Rも聞けますしね」といきなり言ってもまず効果はありません。
まず、聞くべきは「どのようなことに利用しようとしているんですか」ということです。それを理解した上で、必須要因を満たすものを挙げていき、購買を決定させるものを推測し、提示していきます。
そうすると、セールスの成功率は高くなります。
客がどんな人で、なにを欲しているのかを常に考えてというより、自分が客になった気持ちで物事を考えていくと何を語れば購入に結びつくのかはわかります。
つまりは「敵を知ること」につきるのです。
それを直感的にできる人もいるでしょうが、一般的にはこれまでお話しした「ターゲットはだれか、どんな人か」「購入プロセスはどうか」「購買決定要因はなにか」ということを、推論するとともに、お客さんに直接聞いて検証、整理していくのがいいでしょう。すべてのセールスメールは、こうしたことができたうえではじめて効果的なものが書けるようになるのです。
著者プロフィール
名前 | 紙田 昇 | |
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会社 | ピーアールジャパン株式会社 | |
サイト | http://www.prjapan.co.jp/ |