前回は検索回数の多いキーワードには多様なニーズを持つさまざまなユーザーの検索が含まれており、顧客になりうるのはその一部であることをお話しました。そう考えますと、単に検索回数が多いキーワードを選ぶのではなく、“見込み客”の検索が多いキーワードを選ばなくてはなりません。ユーザーの視点に立ってより詳細にキーワード選びのシーンを見てみましょう。
仮にAさんが出張で上京し、新宿でホテルを探しているシーンを例に考えます。まず、Aさんが“新宿+ホテル”というキーワードセットで検索をしてみたと仮定します。実際にYahoo!で検索を行ってみると、以下のような検索結果ページが表示されます。
この結果ページを見てみると、新宿のホテルと言ってもシティーホテルもあればビジネスホテルもあり、宿泊価格や設備が大きく異なるさまざまなホテルが紹介されていることがわかります。Aさんは出張で上京しているので、会社で認められた予算の範囲内でのホテルを探すでしょう。一般的にはビジネスホテルを使われることが多いと思います。そうなると、Aさんは改めて“新宿+ビジネスホテル”と検索することが予想されます。実際に検索してみた結果は次の図の通りです。
今度はAさんのニーズにあったホテルの一覧が表示されました。Aさんは検索結果に満足してサイトを訪問し、納得の行くホテルを見つけるに違いありません。
今回のAさんの例のようにユーザーの視点に立って検索を行ってみると、以下のようなことが分かります。
ユーザーは検索結果に満足しないとより的確なキーワードで再度検索をやり直す
これはとても重要な発見です。一人の見込み客が複数回の検索を行うということです。そう考えると、“新宿+ホテル”で上位に表示されなくても“新宿+ビジネスホテル”で上位に表示されればAさんをサイトに呼び込むことは可能なのです。実際にKATでの各キーワードの検索数は図の通りです。
それでは、この考えをより推し進めていくと、より絞り込んだキーワード程よいのか、という疑問がわいてきます。
たとえば、“新宿+ビジネスホテル+格安”というキーワードはより魅力的なキーワードでしょうか。もちろん、そうではありません。
“新宿+ビジネスホテル”の検索回数は6380回もありますが、“新宿+ビジネスホテル+格安”の検索回数はたったの59回です。
このように絞込み過ぎると検索回数が少なくなり、多くのユーザーを呼び込むことが出来なくなります。
それではどの程度絞り込むのが適当なのでしょう。
先ほどのAさんの例を再度考えて見ましょう。Aさんは“新宿+ホテル”から検索を開始し、“新宿+ビジネスホテル”で検索を終了しました。
もしAさんがこの結果に満足せず、より安いホテルを求めていたらどうでしょう。
さらに“新宿+ビジネスホテル+格安”で検索を行ったでしょう。
つまり、再度絞り込み検索を行う人数が多ければ多いほどそのキーワードに満足してクリックするユーザーが少なく、逆に絞込み検索の回数が少ないということはその結果に満足したユーザーが多い、ということが分かります。
このように、再検索率が極端に低くなる場合、その直前のキーワードをゴールキーワードと呼んでいます。このゴールキーワードで対策を行った場合、単一のニーズを持ったユーザーを多く含み、検索結果に満足するため、訪問率も高くなります。
つまり、真に人気の高いキーワードとは、再検索率が低いキーワードであり、このキーワードを選ぶことによってサイト訪問率も高くなるということです。ただし、今回の場合は検索シナリオを極端にシンプルに考えています。実際はいろいろな絞込みのパターンがあるため、その合計で議論する必要があります。
著者プロフィール
名前 | 権 成俊(ごん なるとし) | info[アットマーク]gonweb.co.jp |
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