メール、メッセンジャー、固定電話にケータイと、今やビジネスにおける連絡手段は多岐にわたる。便利になったように思えて、相手の居場所や都合によって使い分ける必要があるなど、実は面倒が増えている現実がある。マイクロソフトが提唱する「ユニファイド コミュニケーション」は、そうした面倒=コストを削減するための同社の戦略だ。
同社は5月1日、「Office Communication Server 2007 R2」(以下、OCS R2)をリリースする。ここには「日本独自の電話事情を、本社にフィードバックしたアップデートだ」と、業務執行役員インフォメーションワーカービジネス本部本部長の横井伸好氏は自信を見せる。
OCS R2では、音声通話機能が特に強化されており、以下の3つが新たに追加される。
- 部署やグループなど、いわゆる“島単位”で管理される内線電話を一元管理できる新クライアント「Atendant Console」
- ビデオ会議システムやPCがなくても、固定電話や携帯電話から音声通話で参加できるように改良された「電話会議」
- Ajaxベースで、Internet ExplorerのほかFirefoxやSafariからも利用可能なWebベースクライアント「Communicator Web Access」
日本独自の「おつなぎします」に対応したR2
米国のオフィスでは、個々人が席やスペースに外線直通の電話(もしくはBlackberryなどのスマートフォン)を持つ場合が多いが、日本では代表電話を部署の誰かが取って担当者に転送する、という習慣が根強い。
そこでAtendant Consoleでは、部署の担当者名やプレゼンス(在席状況)などを一元管理し、電話の保留や転送をPC画面上で操作できる。さらに同社のID管理サービス「Active Directory」で利用者情報を管理していれば、席にいなくても自動で転送先(携帯電話や自宅電話など)につなぐことができる。
ただし、管理できる電話回線は対応するIP電話システムが必要となる。詳細はプレスリリースを参照いただきたいが、4月16日にNTTコミュニケーションズとマイクロソフトがIP電話での協業を発表したのも、こうした流れの一環だったわけだ(関連記事)。
ビデオ会議を中断せずに
電話回線の相手を呼び出し、参加可能に!
改良された電話会議では、既存のインストール型リッチクライアント「Office Communicator」もしくは後述するWebクライアント「Communicator Web Access」で相手を呼び出して、会議を主催(もしくは参加)するもの。仮に相手が在席しているという前提でビデオ会議を招集した場合でも、プレゼンス状態を確認して電話対応のみ可能という場合には、メールで電話回線から参加するための電話番号、会議IDとパスワードを発信できる。このメールを受けた相手は、プッシュ回線から電話して会議IDとパスワードを入力すれば、三者通話(会議)が可能だ。
Mac OSやLinuxからもビデオ会議に参加可能
Communicator Web Accessは、Office Communicatorと同等の機能を実現するWebクライアント。Ajaxベースなので、JavaScript対応のWebブラウザーであればIE以外でも利用可能だが、同社ではFirefoxとSafariを対応ブラウザーとしている。さらにこれらブラウザーを利用していればWindowsに限らず、Mac OSやLinuxでも電子会議に参加できる。デスクトップ共有やファイル共有も従来通り可能だ。
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価格は利用者(ライセンス)数や導入する機能によって変わるが、100名規模(うちビデオ会議の利用者は60名程度を想定)でソフトウェアライセンスのみで200~300万円程度、1000名規模なら2000~3000万円程度になるという。