東2~6ホールを使った展示会場に目を移すと、最新製品や開発中の製品など完成品が見られる“Display 2006”は東3ホールのひとつだけで、ほかは液晶パネル/PDP(プラズマディスプレーパネル)、および有機ELディスプレーなどFPDを開発・製造・生産するための技術や行程、材料などを集めた“第16回 ファインテック・ジャパン(フラットパネル ディスプレイ研究開発・製造技術展)”の展示が主役となっている。
松下電器産業の103インチPDP |
しかし、来場者の一番のお目当てだったであろう展示はその東3ホールにある。日本メーカーが誇る2つの世界最大、松下電器産業(株)の103インチのフルHD対応PDPと、ソニー(株)の82インチのフルHD&xvYCC対応広色域表示液晶TV(こちらは韓国サムスン電子(Samsung Electronics)社と同サイズ)の2つだ。
松下電器産業の103インチPDPは今年1月に米国・ラスベガスで行なわれた家電製品のトレードショー“2006 International CES”にも展示されたもの。103インチと言っても数字だけではピンと来ないかもしれないが、対角が261cm、表示領域が幅277×高さ127.7cm。基調講演で“等身大”という発言があったが、子どもの背の高さにはすでに追いついているわけだ。表示解像度は1920×1080ドットで、1080pのフルHD表示に対応する。さすがにこのサイズになるとピクセルピッチは1.182mm(縦横とも)となるが、コントラストは3000:1、グラデーションは2048段階の表現が可能という。
ソニーの“xvYCC対応”82インチ液晶TV | xvYCC対応の説明 |
一方、ソニーの82インチ液晶TVは、聞き慣れない“xvYCC対応”という冠が付き、会場でもサイズ以上のこの広色域対応をアピールしている。xvYCCとは従来の動画向け色域である“sYCC”ではサポートできない色空間まで表現できるという、色再現性の高い色空間の定義。2005年10月にIEC(国際電気標準会議)で承認され、今年1月に発行された。ソニーではこの新しい色空間を正しく扱うために、撮影時からxvYCC対応カメラを用いて、編集・記録に至るまで精確な色情報を損なうことなく会場デモ用の映像を作成したとのこと。
パイオニアが本日発表したばかりの50インチプラズマパネルモニター『PDP-5000EX』を展示 | プラズマディスプレーパネルと液晶パネルを並べて、視野角や黒表示の引き締まりなどを比較するデモ |
このほか会場には、パイオニア(株)が当日別会場で発表したばかりのフルHD対応最新PDPモニター、50Vインチの『PDP-5000EX』や、シャープ(株)が2月に発表した65インチの“亀山工場製フルHD対応液晶パネル”を採用した“インフォメーションディスプレー”『PN-655』を5台以上並べての用途提案、富士通日立プラズマディスプレイ(株)が昨年12月に発表した42VインチでフルHD表示に対応した高画素ピッチ(0.16mm×3)のPDPパネルモジュールをそれぞれ展示するなど、まさに“フルHD FPD百花繚乱”という印象だった。
シャープの65インチフルHD対応液晶パネルを使った“インフォメーションディスプレー”『PN-655』の活用事例デモ | PDPや液晶パネルほどの薄さではないが、こちらもフルHD対応を果たしている日本ビクター(株)の高精細液晶パネル“D-ILA”を使ったリアプロジェクションTV。写真は70インチタイプ | D-ILAデバイスも展示された。Display 2006の展示会場では、数少ない技術的な展示物だった |
大型パネル以外では、主にノートパソコンやカーナビなどに供給している東芝松下ディスプレイテクノロジー(株)が、SOG(システムオングラス、回路をガラス基板上に形成することでディスプレーモジュール全体の小型化を図る)技術を応用した2.5インチの携帯電話機向け小型液晶パネルとして、視野角を制御できるという“メモパ”やタッチパネル機能内蔵タイプなどを展示していた。こうしたアプリケーション(応用例)は、すでにユーザーからもメーカー(携帯電話機の製造元や通信キャリアー)からも求められている機能であり、搭載製品の登場が待たれる。
視野角をソフトウェアで制御できる液晶パネル“プラメ”のデモ。これはオフの場合 | オンにすると、横から覗き込んでも文字が薄くなり、ほとんど読めなくなる | SOGによるタッチパネルのデモ | ||
東芝松下ディスプレイテクノロジーの携帯電話機向け液晶パネル |