AMDは9月からSocket 939のOpteronを販売している。Opteronといえば2003年6月の登場以来、ずっとSocket 940だった。しかし低価格サーバの普及に対応するためか、Socket 939で安価なアンバッファードDIMMを使えるOpteronの登場となったようだ。Athlon 64には存在しない周波数・キャッシュの組み合わせの製品もあり、ラインナップ的にも興味深いが、同時に物理的な特性――もっと言えば、クロックアップ耐性も気になる。今回は同仕様のAthlon 64と比較してみた。
限りなくそっくりのSocket 939版OpteronとAthlon 64
OpteronとAthlon 64の違いは大きく分けて4つある。いや、あった。まず、Opteronはマルチプロセッサシステムにおいて、他のCPUとダイレクトにデータ交換を行なうために、Hyper Transport(HT)チャネルを3つ持っているのに対し、Athlon 64ではチップセット接続用のHT1つしか持っていないこと。次に、Opteronは大容量メモリに対応するため、レジスタードDIMMモジュールが必須であるのに対し、Athlon 64は一般的な(アンバッファードの)DIMMが使えるということ。それから、Athlon 64シリーズは939ピンのSocketを用いるが(昔は754ピンのものもあったが、現在はTurion/Sempronしか使っていない)、Opteronは940ピンのSocketを用いることだ。
ただ、シングルCPUでしか使えない“Opteron 100”シリーズについて言えば、通信する相手CPUがない以上、HTが3つあると言っても事実上使い道はない。つまり、“Opteron 100”シリーズとAthlon 64との違いは、使えるメモリとSocketが違うだけ。クロックとキャッシュ容量が一致すれば、性能的には同じになると予想されていた。
そこへ登場したのが、“Socket 939版のOpteron”なるものだ。しかも、メモリはアンバッファードが使えるという。これで実態としては限りなくAthlon 64と同じOpteronになった。
もっとも、ラインナップと、そもそも名称が違うため、一見両者の関係はわかりにくい。そこで表にまとめてみた。
周波数別の各モデルラインナップ
周波数 | Opteron | Athlon 64 |
---|---|---|
2.4GHz デュアルコア | 180 | X2 4800+ |
2.2GHz デュアルコア | 175 | X2 4400+ |
2.0GHz デュアルコア | 170 | - |
1.8GHz デュアルコア | 165 | - |
2.8GHz | 154 | FX-57 |
2.6GHz | 152 | FX-55 |
2.4GHz | 150 | 4000+ |
2.2GHz | 148 | 3700+ |
2.0GHz | 146 | - |
1.8GHz | 144 | - |
見ての通り、キャッシュ1MBの製品のラインナップは、OpteronがAthlon 64よりはるかに充実している。2.6/2.8GHz品はAthlon 64にはないが、FXが同等スペックになる。しかし、1.8/2GHzの品は、シングル、デュアルとも対応する製品が登場していない。
巷では1.8GHzの144がクロックアップ用にねらい目と言われているが、今回は同等製品での比較を行なうため、Opteron 148とAthlon 64 3700+を対決させてみることにした。