動画データが増え続ける限りHDDスペースは常に不足しがちだ。MPEG-2で高画質に残したいというこだわりがないのなら、MPEG-4系のコーデックでもっとコンパクトに保存する方法もある。BHAの「超圧縮XVD plus」は、XVDコーデックを使ったエンコーダと編集ツール、専用プレーヤソフトがセットになった動画圧縮パッケージだ。
滑らかさ重視の圧縮特性
高速な動作も魅力
画面1 超圧縮XVD Plusのメイン画面。圧縮中は右上のエリアにプレビューと経過時間などが表示される。複数のファイルを一度にタスクとして実行することも可能だ。 |
XVDは米DigitalStream-USA社が開発した映像と音声の独自コーデックで、DivXやWMVなど既存のMPEG-4系コーデックよりも高速な圧縮動作を謳い文句にしている。その仕様はパテントの都合上明かされていない部分も多いが、特徴的なのはキーフレーム(Iピクチャ)から始まるひとまとまり(GOP:Group of picture)を初期設定で最大90と広く取り、デルタフレームの量を多くすることで圧縮率を高めている点にある(※1)。また、Bピクチャを使わずIピクチャとPピクチャでGOPを構成することで、圧縮処理をシンプルかつ高速化している。
※1 GOP MPEGの最小単位となるGOPは、1枚絵として完結しているIピクチャ(キーフレーム)と動き予測で符号化されたBピクチャとPピクチャ(デルタフレーム)で構成される。PピクチャはIピクチャからの動きの差分、Bピクチャは前後のピクチャから双方向に差分を取って符号化したものだ。一般的にキーフレームが多くなるほど圧縮率は下がり、逆にキーフレーム間隔をあけるほど、圧縮率は高くなる。パッケージの中心になるのはエンコーダのフロントエンド「XVD encoder plus」で、動画はAVIとMPEG-1/2、XVD、音声はWaveとMPEG-Audio、MP3、XVD形式の読み込みをサポートしている。圧縮時の設定項目は他のコーデックとほぼ同様(画面1)だが、「最小フレームレート」「最大キーフレーム間隔」などの項目にXVDの独自性を垣間見れる。さらに標準ビデオフィルタとして「インターレース解除」「ノイズリダクション」「クリップ/拡大縮小」「ウォーターマーク」「色調補正」の5項目が用意されており、それぞれ別ウィンドウでカスタマイズできる。
ちなみに、DirectShow対応のTVキャプチャソフトで、リアルタイムエンコード用のコーデックとしてXVDを選択しても、動作時に接続できずにエラーになる。XVDへの圧縮は、あくまでこのフロントエンドを使ったノンリアルタイム処理となる。
画面2 XVD Editorでは圧縮したXVDファイルに対してトリミングやチャプタ設定を行える。編集済みのプロジェクトは直接CDやDVDにライティングできる。 |
できあがったXVDファイルの配布を考えているなら「XVD Editor」が役に立つだろう(画面2)。主な機能はXVDファイルのトリミングとチャプタ付けで、前者はGOP単位のカットになるため精密な編集は行えないものの、編集後のファイル出力は高速だ。後者は別ファイルにインデックスを作ることでDVDのようなチャプタジャンプを実現する機能で、プロジェクトを出力すると編集したXVDファイルとチャプタを登録したInfo.xvdファイルが生成される。各プロジェクトには自動的にプレーヤソフトが組み込まれるので、そのままCDやDVDに書き込めばXVDコーデックを導入していない環境でも即座に映像再生を行える。
最後に、同じ映像をほぼ同条件で圧縮した場合の結果を掲載しておこう(画面3、4)。色味は鮮やかながらエッジ付近でブロックノイズが散見されるDivX(右)に対して、XVD(左)はエッジのシャープさに欠けるもののざわつきのない滑らかな映像に仕上がっている。XVDのこの圧縮傾向は、映画など長時間のソースを見続けた場合に目に与える負担を少なくするための意図的なものだそうだ。
超圧縮XVD Plusの主なスペック | |
製品名 | 超圧縮XVD Plus |
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CPU | Celeron-600MHz以上 |
OS | Windows 98 SE/Me/2000/XP |