東日本電信電話(株)は16日、クライアントパソコン同士で通信を行なう“P2P”通信技術と、配信データのコピー転送を可能にする装置“スプリッタ”を組み合わせたシステムを構築し、技術検証を行なうとともに、ブロードバンド向けインターネットラジオ番組配信の実験を18日に開始すると発表した。同システムは低コストで大容量の配信が行なえるのが特徴。実験の実施期間は18日から2003年3月20日まで。トライアルサイトにおいて、参加許諾に合意すればだれでも実験に参加できる。必要なプラグインソフトも無料でダウンロードできる
実験実施概要 |
これまでのストリーミング技術では、ユーザーのクライアントパソコンと配信サーバーを基本的に1対1で接続するため、同時に接続するユーザー数や配信するコンテンツ容量に応じて、高性能のサーバーと広帯域のバックボーン回線が必要となり、配信コストが上昇するという問題があった。そこで同社は、P2P(Peer to Peer)通信とスプリッタを利用したシステムを構築、これにより同じ配信サーバーを利用しても数十倍の効率化が期待できるという。
このシステムは、クライアントパソコンにP2P対応ソフトウェアをインストールし、新たにライブ映像の視聴をリクエストしたユーザーへの配信を、その時点で同じ映像を視聴しているユーザーのクライアントパソコンを経由して行なうもの。米ChainCast社のリレー型P2P通信技術を採用し、クライアントパソコン間のP2P通信を中央制御することで、クライアントパソコンの視聴状況に合わせた配信ルートの構成や再構成が行なえるという。スプリッタは、ストリーミング信号を解析しコピー転送して配信するスイッチ装置で、汎用パソコンで利用できるNTT情報流通プラットフォーム研究所の“LSS(ライブ・ストリーミング・スイッチ)”を利用する。
配信するコンテンツは、(株)ニッポン放送が協力し、お台場スタジオの映像とニッポン放送の人気アナウンサーのDJによるブロードバンド向けオリジナル番組“ブロードバンド!ニッポン”のほか、ニッポン放送看板深夜番組オールナイトニッポン“allnightnippon・インターネット”などを提供する。また、スペシャル企画として、21日と22日の24時間チャリティーイベント番組“デジタルミュージックソン”のライブ配信を行なう。
同社では、今後、トライアル期間中に番組コンテンツを順次追加するとともに、多面的な技術検証/利用環境調査を進めるという。