(株)ホリエージェンシー、ジェンズ(株)、日本ヒューレット・パッカード(株)など17社は4日、都内で記者発表会を開催し、さまざまなメディアにおけるコンテンツ配信システムやビジネス化を研究する“統合メディア・コンテンツ・コンソーシアム(IMCC:Integrated Media Contents Consortium)”を発足したと発表した。同日、活動の第1フェーズとしてブロードバンドインターネットコンテンツを配信する実証実験サイト“アーティストゲート”を開始した。
IMCCは、インターネット、電波による放送、CD/DVDなどの配信メディアにとらわれず、さまざまなメディアにおいてコンテンツを有効に生かしたビジネスを行なうことを目指す研究・交流会。コンテンツホルダー側企業のみ、あるいは配信インフラ/システム側企業のみに偏らず、さまざまな立場の企業が集まって、インフラ/システムの検証活動を進め、ビジネス化について意見交換や推進を行なっていくとしている。
アーティストゲートの構築・運営を行なう(株)メディア・トラストの近藤雅信代表取締役 |
IMCC事務局を務め、アーティストゲートの構築・運営を行なう(株)メディア・トラストの近藤雅信代表取締役は「最近新聞紙上で、いくつかの企業が共同で、(コンテンツをインターネットなどを通じて配信する)コンテンツデリバリーネットワーク(CDN)サービスを開始するといった記事を見かける。しかし、これまでの団体はその多くがシステムやネットワークインフラ側の企業だけで集まったもので、コンテンツホルダーは参加しておらず、コンテンツを持つ側の意見が反映されていなかった。IMCCではコンテンツホルダーと、インフラ/システム側の企業がこれまでになく多く、バランスよく集まった」と、IMCCが日本ではこれまでになかったコンソーシアムだと強調した。
IMCCの発足時の参加企業と、その役割は以下の通り。
- 米Billboardlive社
- 米国で開いたライブハウスからの有名音楽アーティストのライブ映像配信など
- (株)ホリエージェンシー
- インターネット専属アイドルオーディション開催、タレントの舞台裏映像配信など
- (株)ホリプロ・インプルーブメント・アカデミー
- 幼児・児童などを対象にした教育・情報コンテンツ配信など
- サイバーコネクションジャパン(株)
- インディーズミュージシャンのライブ映像、音楽配信、プロモーションなど
- プレム・プロモーション(株)
- ヒーリング音楽、映像配信、CD/ビデオ販売など
- (株)キリンプロ
- タレント、アーティストの音声、動画配信、グッズ販売など
- 韓国スペースイリュージョン社
- モーションキャプチャーによって作られるネットワーク上のコンピューターグラフィックスキャラクターを提供
- (株)ホリプロ
- 提供コンテンツについては検討中。研究参加
- ジェンズ(株)
- IMCC推奨ISPとして、個人向けISPサービス“JENS Spinnet”の提供、アーティストゲート向けにインターネットデータセンターを提供
- (株)東芝 デジタルメディアネットワーク社
- アーティストゲート向けにWindows環境検証用サーバーを提供
- 東芝ITソリューションズ(株)
- インターネットデータセンターの提供
- ソニー(株)
- アーティストゲート向けのVRMLシステム開発の支援
- 日本ヒューレット・パッカード(株)
- Linuxベースのブロードバンドコンテンツ検証用サーバーの提供
- (株)ウェブストリーム
- ストリーミングコンテンツの視聴/課金管理システムの提供
- (株)ジェーシービー
- 物販でのクレジットカード決済および画像・音声コンテンツの販売におけるクレジットカード、デビッドカード決済の実証実験
- イーバンク銀行(株)
- 少額課金システムの提供
- (株)メディア・トラスト
- IMCC事務局運営、コンテンツ提供サイトの開発・構築と運営
IMCCでは、さまざまなメディアでのコンテンツ提供を行なっていくとしているが、“アーティストゲート”は、その“第1フェーズ”として同日オープンした。ブロードバンドインターネット環境を対象に、動画や音楽コンテンツを提供するポータルサイトで、ADSL 1.5Mbps以上のインターネット接続環境のユーザー(プロバイダーによる制限はない)を対象としている。なお、ストリーミング配信する画像コンテンツのデータ帯域は300kbpsのみとなっている。
Flash版“アーティストゲート”のエントランス画面。このエントランスにはコンテンツホルダーごとの“部屋”が隣接しており、その部屋に進むことでコンテンツを視聴できる |
アーティストゲートのサイトは、博物館のような部屋や仮想の街といったイメージで、マクロメディア(株)の“Macromedia Flash”ベースのものと、VRMLベースの2種類の“インタラクティブな3D空間”を用意する。FlashベースのものとVRMLベースのものでは、3D空間の作りが異なるものの視聴できるコンテンツは同じ。ユーザーはどちらでも利用できる。試聴コンテンツを除き、ほとんどのコンテンツは有償で提供しており、ビジネスも含めた実証実験という位置づけ。
ホリエージェンシーが提供するコンテンツの1つ、アイドルの素顔を伝える“オフショットムービー集” |
発表会では、Pentium III-1GHzを搭載したパソコンでアーティストゲートにアクセスするデモンストレーションが行なわれた。パソコンのグラフィックスカードの能力にもよるのだろうが、コンテンツを快適に視聴するにはやや動きが重いと感じられた。この点についてメディア・トラストでは「現時点では重いかもしれないが、今後のパソコンの高速化を見越した仕様であり、2002年半ばには問題はないと考えている」としている。
VRMLベース版の“部屋”の内部。コンテンツはサイバーコネクションジャパンの“Liveblitz” |