PCアクションゲームファンが“まだかまだか”と待ちわびていた3人称視点(自キャラ後方からのカメラ視点)の3Dアクションシューティングゲーム「Max Payne」が、2001年8月にいよいよ日本国内でも発売された(米国では7月末に出荷)。重厚なストーリー展開と「バレットタイム」アクションにより、映画のようなスリルと斬新な戦闘シーンを実現した超大作だ。
愛する家族を惨殺された
麻薬捜査官「Max Payne」の復讐劇
主人公の「Max Payne」。元・ニューヨーク市警刑事、現・麻薬捜査官。新種の麻薬「V」の常用者に愛妻と愛息を殺されるという壮絶な過去を持つ。 |
ゲームの舞台となる真冬のニューヨークは、麻薬絡みの犯罪の多発により相当に荒廃しきった雰囲気が漂いまくる。目に見える当面の敵はニューヨークに巣食うギャングなのだが、ゲーム冒頭から警官殺しの“罠”にハメられるわ、悪魔崇拝のサイコジャンキーと対決するわ、「V」のルートには恐るべき裏組織が潜んでいるわと、一介の麻薬捜査官が挑むにしてはあまりにも困難が大きい。しかし、「V」とその密売組織への復讐を誓うMaxは、敵が狂っていようと強大だろうと突き進んでいく。
ステージ間やステージ中のイベントシーンに挿入されている「マンガ」モード。Max Payneの淡々としたシブーイ語りと各登場人物の会話が盛り込まれた「音声付きアメコミ」といったテイスト。 |
衝撃的なファーストステージ。ニューヨーク市警時代のMaxが愛する家族の待つ家に戻ると、そこでは悲惨な殺人が……。 |
最近のアクションアドベンチャーゲームでは、複雑なシナリオ分岐を売りにしているタイトルも多々あるようだが、本作は逆に「1本道のストーリー」をアピールしている。シナリオ分岐を用意せず、映画のようにひとつのストーリーに基づいて話を展開していくことによって、シナリオそのものの完成度や濃さを高めていく、というのがその意図だという。また、「謎解き」「パズル」の要素も多少は組み込まれているものの、PCのアクションアドベンチャーの金字塔「TombRaidor」シリーズのように「超複雑・超難解」というほどではなく、基本的には「ゲームをしっかり進めてれば自然と答えが出る」程度の難易度にとどめられている。
Max Payneのグラフィックスエンジンは「MAX-FX Technology」と呼ばれる3D描画エンジンが採用されている。このエンジンは有名なベンチマークテストプログラム「3DMark 2000」シリーズでも使用されているもので、PentiumIIIのSSE命令やAMDの3D Now!、Direct 3DのハードウェアT&Lなどをサポートする強力なエンジンだ。このパワフルなエンジンを利用した本作のグラフィックスは、例えば主人公や敵キャラが発砲した弾丸(銃弾と散弾との区別なんて当然!)や、銃器から飛び出す薬莢のひとつひとつまでがかなり忠実に書き込まれている芸の細かさだ。また、弾丸が着弾した地点の「素材」によって着弾音が変化する。たとえば、雪の地面だと「ズブッ」という沈んだ音に近いが、壁が金属だと乾いた金属質な音になる、といった具合だ。DirectSound 3Dによる3Dサウンドの効果もあいまって、スピーカ(ヘッドフォン)から感じられる「緊迫感」もかなりのモノだ。
雪のニューヨーク市街を疾走するパトカー。画面写真ではわかりにくいが、吹雪や雪煙の雰囲気が非常にリアルだ。 |
これもちょっとわかりにくいが、敵とMaxの間を、別の敵が発砲した銃弾が横切っているシーン。次ページで紹介する「バレットタイム」中に観察すると、拳銃弾と散弾の違いまで視認できる。 |