本日開催された“第3回
地方公共団体情報化フォーラム”で、警察庁のネットワーク犯罪への対策に関する講演が行なわれた。講師は、警察庁長官官房総務課企画官の北村滋氏。
年々増加するネットワーク犯罪について、北村氏は、「現実世界での捜査手法は通用しない」と話す。ネットワーク上では、他人への“なりすまし”が現実世界より容易なため、犯人の特定が難しい。高度なネットワーク技術が要求されるのである。
しかも、ネットワークは国境を持たないため、ネットワーク犯罪に対しては国家間の連携が重要になってきているという。例として同氏は、日本を含めたG8諸国が、今年5月にネットワーク犯罪対策について意見の一致を見たことを紹介した。そして、そのうちの主な項目を説明することで、国内外の警察機関の抱える課題と取り組みを明確にした。
ひとつは、24時間体制で稼動する“サイバーポリス”、つまり情報交換、技術支援を行なうためのネットワーク拠点を整備することである。これについては、他の項目に比べ開発も進んでいるという。
また、各国の法制度の見直しも重要事項であるとした。北村氏は、G8のうち日本だけが不正アクセスに対する可罰の法制度がないことを特に危惧しており、不正アクセスを罪とする法案を、次期通常国会までに提出する方針だと述べた。日本でのみ不正アクセスが犯罪とされていないため、たとえば米国で起こった不正アクセス事件に対して、日本が証拠資料を提出できないという事態が起こりうるのだという。
産業界との共同作業も、ネットワークにおいては欠かせないとした。基本的に警察や司法機関がネットワークを運営、管理しているわけではないので、犯罪の発見、情報収集には産業界の協力が必要となるわけである。