1998年8月29日、新たなアップルの新しい歴史が、ついに日本でも火ブタを切った!また、今回、8月29日15時より日本全国一斉発売というスケジュールも、『iMac』のデビューにふさわしい販売促進イベントであった。お祭り騒ぎに、しばらく縁がなかったMacユーザーにとっても久々に心から満喫できる1日であった。
大阪・日本橋に登場した長蛇の列
いよいよ、8月29日(土)、残暑きびしい大阪・日本橋(にっぽんばし)に、夏休み最後の熱い一日が繰り広げられようとしていた。東京での『iMac』イベントと衛星中継で結ばれたニノミヤMac館では、やはりイベントの中心であるかのように、発売解禁時間である3時前には200人を越える長蛇の列が見られた。Windowsが主流となっていた日本橋だが、この日だけは少し勝手がちがう。Macユーザーが日本橋に溢れているといった印象を受ける。
(編集部:6枚の写真のうち3枚は、この記事の末尾。“mACademia”の項の後に掲載した。最後の写真は、ボンダイブルーと優美な曲線ボディーのiMacユーザー)
ニノミヤMac館前の模様。『iMac』を初日に手にいれようと長蛇の列が続く |
ニノミヤMac館、店内にはあふれんばかりの人が『iMac』の発売を待つ |
カウントダウンと同時に、レジにつめかける購入希望者たち、メディアの取材合戦もピークに |
15時00分!
東京のイベント会場とともに全国で発売が一斉に開始となった。17万8000円ものコンピューターが次々と飛ぶように売れていく!
メモリー増設の人、現金の人、カード払いの人、ローンの人、それぞれが指定されたレジに向かう。支払いが終わり、無事『iMac』を手に入れたユーザーがカートをひきながら、店外へ出ようとするとどこからともなく、「おめでとう!」の声と拍手が行列から聞こえる。まるで飛行場のアライバルゲートのような様子だ。カートを引きながら出てくるユーザーにおめでとうのエールと拍手で喝采される。待ち構えたテレビ局やメディアからもインタビュー攻勢がおこなわれる。まるで、ヒーローインタビューさながら!
日本橋にあふれる『iMac』購入者たち |
(編集部:日本橋にあふれる『iMac』購入者たち(II)を末尾に)
『iMac』の販売合戦がスタートした日本橋はどこの店鋪も大忙し!
J&Pのテクノランドでは、『iMac』のためのジオラマセットが売り場を飾り、ソフマップでは、『iMac』を使ったルーレットでアップルグッズが当たるキャンペーン。T-ZONEでは、おまけグッズをプレゼントなど、各社『iMac』販売に趣向を凝らす。並ばなくても買える店鋪が日本橋ではあるのだが、お祭りを気分を味わうために列に並んで購入する客がほとんど…。このあたりの購買心理の理解が今後の売り上げにも影響してきそうだ。まずは、『iMac』発売おめでとう!
『iMac』ジオラマスペースとなったJ&Pテクノランド |
ソフマップではアップルグッズが当たる抽選会が開催 |
店内がほとんど『iMac』と化してしまったT-ZONEではおまけグッズをプレゼント |
日本橋での販売状況はほぼ全店、予定の数量の『iMac』の販売を達成。各店ともメモリー増設対策をしながらの船出である。予想以上の反響に、どのショップもオーバーヒート気味のようであった。初日の滑り出しはアップルの計画どおりといったところか。購入を決定した要因にとにかく“価格の設定”があげられていた。それがいい結果をもたらしているようであった。しかし、FireWireやスカジー接続を望むハイエンドユーザーも多く、早くも『iMac』の上位機種を望む声も多くあがっていた。
(編集部注:mACademiaについては報道局記者が
http://www.ascii.co.jp/ascii24/issue/980828/topic11.htmlで報告している。しかし、関西Macintoshユーザー会のいわば身内に当たる神田氏の下記記事も、別の視点からのレポートとして、掲載する)
発売前に一目でも早く『iMac』を見ようとmACademia前夜祭に集った数150人
さて時をさかのぼって、発売前夜の8月28日。関西のMacintshユーザー会の老舗mACademia(マカデミア
http://www.macademia.org )では、“『iMac』革命前夜祭”なるプレイベントが開催され、150名ものMacユーザーを集め前夜祭を祝った。mACademiaは、毎月開催されるMacintoshやインターネットを中心としたユーザー主導の研究会。メーカーが介在しないので、ユーザーの立場で自由にプレゼンターがテーマにそった話題を本音でトークするのが特徴。この前夜祭もアメリカから直輸入した『iMac』を肴に発売前に徹底的に検証しようというもの。
主催者の中西博氏の合図とともにあらわれた特別ゲストが、Macマンとインテルマンのお二人。Macマンが、インテルマンが開発したというニセ『iMac』と戦うという(?)寸劇が見られた。インテルマンの持参した陳腐なビニール製の『iMac』には、アースノーマットなる『iMac』のマウスが接続されている。
Macマンとインテルマンとのニセ『iMac』デモンストレーション。いかにも関西ノリ。マイク横のアースノーマットが『iMac』のマウスに見えるから不思議! |
プレゼンテーションステージでは、その後、大阪電通大の魚井宏高助教授による「『iMac』是か非か?」のプレゼンテーションが開催される。その希有なるデザインがメリットでもありデメリットでもあると解説する。
『iMac』を解説する大阪電通大魚井宏高助教授 |
その後、ヤノ電器株式会社によるUSB接続による『iMac』用フロッピーディスクドライブのデモ、株式会社内芝製作所による『iMac』用スピーカー「COZO(コゾウ)」のコンセプト紹介が続き、そして最後に『iMac』はステージ上で分解されることとなった。ロジックボードの解説からメモリの増設まで参加者は発売前日に『iMac』を買うべきか待つべきかの貴重な情報を入手できたようであった。
誕生前夜に丸裸にされて解説される『iMac』 |
大阪・日本橋でのスナップショット、続編
最後尾をあらわすプラカードを持つガードマンも登場する |
間もなく発売される『iMac』はカートの上に乗って準備万端! |
配られたアップルジュースを片手にカウントダウンを待つ店内 |