国内の5指に入る大手自動車会社が、インターネットのプッシュ型情報配信ソフトを採用する方向で検討を進めている。ソフトウェアのメンテナンスを自動的に実施するのが狙い。これにより、TCO(Total
Cost of Ownership)の大幅削減を図る。米国製のプッシュ型情報配信ソフトの1つを採用する方向に傾きつつある。
国内の大手自動車会社各社はいずれも、直接要員を除いて、数千人から2万数千人の事務職、営業職、技術職の社員を抱えている。これらの社員が利用するパソコンを、数千台から1万数千台保有する。OSやアプリケーションソフトのバージョンアップだけで大変な作業になる。
たとえば国内2位の日産自動車では、一時期、厚木のテクニカルセンターだけで2000台のMacintoshと数百台のIBM機、東芝機を抱えていた。そのころは、キヤノン系列の保守会社や日産と日立との合弁会社である日産コンピュータテクノロジーから数人ずつ、パソコンのハード、ソフトのメンテナンスのための要員が来て常駐していた。
今回、プッシュ型情報配信ソフトの採用を決めた自動車会社は日産自動車以上のパソコンを抱えている。サーバーに最新版のソフトを入れておくと、プッシュ型情報配信ソフトが、各パソコンに送出する。パソコン側のクライアントソフトが自動的に最新版ソフトを受け取り、従来版を書き換える。一般社員や外注のシステム保守要員が、ソフトのメンテナンスに費やしていた労力が大幅に削減される。
現在、システム構成手法が、メインフレームによる集中処理からクライアント/サーバー方式による分散処理に移行するにつれ、TCO(Total
Cost of Ownership)増大への対策が懸案になりつつある。プッシュ型情報配信ソフトの採用は、TCO削減の有望な手段として注目を集めている。