音楽制作の場で使用されるプロフェッショナル用のオーディオ機器を一堂に集めた“プロオーディオ総合機器展20000(PAS
2000 Tokyo)”が、東京池袋のサンシャインシティコンベンションセンターTOKYOで21日から開催されている。主催は、(社)日本オーディオ協会などオーディオ関連の業界団体が構成する“日本プロフェッショナルオーディオ協議会”。内外の51社が出展し、音楽スタジオやコンサートホールなどで使われるミキシングコンソールや音響システム、音楽・ビデオの編集機器、マイク、測定器、CDレコーダーなどプロ御用達の最新機器が集められた。
スチューダー・ジャパン(株)の展示。スイスのスチューダー・プロフェッショナル・オーディオ社製デジタルミキサー。コントロール部分は、Windows NTベース。液晶ディスプレーが埋め込まれている。本体はラック側にあってDSP部分とパソコン部分、インターフェース部分などにわかれている。パソコンは右下にラックマウントされている |
光ファイバーを使って1台あたり最大16チャンネルの信号をネットワーク化できる『Network Audio Distribution Unit』。米オタリ社の製品 |
言うまでもなくプロオーディオの世界でもデジタル技術が浸透してきている。たとえば音楽スタジオやコンサートホールなどで使われるミキシング卓はデジタル化が進み、専用のDSPベースのシステムをWindows
NTやMacintosh、あるいは独自OSによるプログラムでコントロールするものに代わりつつある。こうした機器の象徴でもあるたくさんのフェーダーやツマミ類が載ったコンソールは、今では単なるインターフェースに過ぎず、DSP本体と光ケーブルやEthernetケーブルでつながれている。ミキシング卓本体にCRTディスプレーや液晶ディスプレーをビルトインするのも当たり前になっており、キーボードやマウス、タブレットを装備する製品もある。
一方、スタジオ内やライブ時の配線を見てみると、これまでは太いアナログケーブルを何十本も束ねて引き回しているのが常であったが、これも光ケーブルとルーターによってデジタル化され始めている。配線がスッキリするだけでなく、信頼性も上がる。また、1つの音源を複数のスタジオで共有できるメリットもあるという。
また、パソコンによるコントロールもすでにポピュラーで、一見独立した機器のように見えても、USBやシリアル、MIDI、専用端子などを介してパソコンに接続。GUIを駆使したコントロールを行なうことができる製品がさらに増えたようだ。DSPを使ったオーディオプロセッサーやワイヤレスマイクの管理システム、音響測定機器などもこうした仕組みを備え始めている。
今回のショーではこうした製品に加えて、新しいメディアを使ったレコーダーも目立った。ハードディスクはすでにポピュラーな製品だが、これにMOを組み合わせたものや、容量やデータ転送速度が異なるメディアを複合させた送り出し機、持ちち運び用の録音機にフラッシュメモリーカードを採用したものなどが目立った。
個々の製品については写真を参考にしてほしい。なおこのイベントは23日の金曜日まで開催されている。
操作性を上げるためにタブレットを装備したミキシングコンソール。CRTディスプレーは斜めにビルトインされている。ソリッド・ステート・ロジックジャパン(株)の製品 |
日本ビクター(株)が参考出品したデジタルミキサー。本体はラック側にあり、複数のオーディボードが心臓部。コンソールとはEthernetケーブルで結ばれているだけだ |
こちらのコンソールは5面に液晶ディスプレーを埋め込んだタイプ。(株)ユーフォニクス・ジャパンの製品 |
コンパクトフラッシュをメディアに使うポータブルレコーダー。フォーマットはMPEG-1またはMPEG-2。録音したデータをそのままデジタル編集機に入れられるのがメリット。日本コロムビア(株)の製品 |
ハードディスクとMOとCDを組み合わせて、それぞれの特性に合わせた素材の送り出しを行なうための機器。日本コロムビアの製品 |
スチューダーのオーディオルーターも、光ファイバーでアナログ配線を置き換えるタイプ。主にスタジオなどで使われる。配線のルーティングは外付けのパソコンで設定できる |
Macintoshと専用のDSPボードを組み合わせて音楽制作を行なう『Pro Tools』のポストプロダクション用システム。ミキサー卓風のコンソールは見えるがベースはMacintosh。出展は、アビッドジャパン(株)のデジデザイン・ジャパン事業部 |
ワイヤレスマイクの管理をパソコンで行なう松下電器産業(株)のシステム。それぞれの感度を監視したり、ミュート操作などを行なうことができる |
ソニー(株)のオーディオプロセッサーもパソコンでコントロールできる |
パソコンではポピュラーなデジタルスピーカー(DAコンバーターを内蔵したデジタル入力端子を持つスピーカー)だが、プロ用モニターにも浸透しつつある。フィンランドのGENELEC社製。オタリの展示ブースより |
映像に音をつけるMA(Mixing Audio)用機器やビデオ編集用機も展示された。オーストラリアのフェアライト社の製品は音を入れるポイントを指示しやすいようたくさんのキーボードを備えている |
プロ用のオーディオ用CD-RやCD-RW機も多数展示されていたが、CDにダイレクトにラベル印刷するプリンターも並べられた |