デジタルハリウッド(株)など7社は、人材育成から事業推進までのインキュベーション事業を営むコンソーシアムの“デジタルハリウッド・ストリーム(DH
Stream)”を結成することで合意したと発表した。各社は株式の持ち合いなどで資本関係を構築し、共同プロジェクトを推進していく。手始めに事業マネージャーや起業家の養成塾である“IMDプロシード”を、年内を目処に開講する。
DH Streamに参加するのはデジタルハリウッドをはじめ、(株)デジタルスケープ、(株)アイ・エム・ジェイ、グランスフィア(株)、ビットキャッシュ(株)、(株)ミディシティ、スパイラルスターの計7社。スパイラルスターがDH
Streamの事務局を担当するほか、6社の株式を持つことで持ち株会社的な役割を果たし、全体として資本関係の整理・統括を行なう。
各社ではコンソーシアムを結成する目的として、各社のリソースを投入し、一社ではできない事業を相互補完的に実施していきたいとしている。また、デジタルハリウッド以外の企業にとっては、知名度の拡大につながるというメリットもある。
DH Streamに参加する各社の代表。左から、ビットキャッシュ林社長、スパイラルスター藤本社長(アイ・エム・ジェイ社長を兼務)、デジタルハリウッド桜田副社長、杉山学校長、デジタルスケープ藤川社長、グランスフィア荻原社長、ミディシティ太場社長 |
株の持合でコンソーシアムの結束を強化
各社の株式を所有するスパイラルスターは、DH Streamに関連する企業や技術、特許などに投資することを目的として、今年3月に設立されたばかり。コンソーシアム企業の役員が参加するほか、証券会社の出身者などが名を連ねている。スパイラルスターが所有する株式の割合は、ビットキャッシュでは51パーセント、グランスフィア、IMJ、デジタルスケープについては主要株主としての株数を所有する。また、デジタルハリウッドについては9パーセントを出資。ミディシティについては、現在のところ資本関係を持っていない。
今後各社が資本増強をする際には、スパイラルスターが第三者割り当て増資を引き受ける予定。また、将来的に株式の持ち合いを解消する予定は特にないという。デジタルハリウッドとデジタルスケープを除く5社は、すでに同じ住所に本社を移転しており、DH Streamの推進にあたって協業態勢を取っていく。
DH Streamでは、各社の代表取締役で構成される“執行役員会議”を月一回以上開催し、基本方針や戦略、投資やM&Aといった案件について議論を交わしていくという。執行役員会議の運営はスパイラルスターが担当し、共同プロジェクトなどの管理や報告を行なっていくとしている。
デジタルハリウッド学校長の杉山知之氏、「デジタルが人間社会に溶け込む流れ(ストリーム)を作りたい」と、“DH Stream”という名称の意味を説明した |
DH Stream参加各社は、東京・渋谷のデジハリにおいて、記者発表会を開催した。その会場で発表されたプロジェクトは以下の通り。
(1)インキュベーション事業
(2)韓国や中国などアジア地域におけるコンテンツ制作事業などの展開
(3)IMT2000など次世代プラットフォームに対応した音楽・映像コンテンツの開発・配信
(4)サブカルチャーなどニッチなマーケットに向けたポータルサイトの構築
(5)複合型小額課金サービス、およびコンテンツSCMの開発
(6)ネットビジネスの総合コンサルティング事業
また、DH Streamが手がけるプロジェクトの第一弾として、即戦力となるマネージャー/プロデューサーの養成を目的とした“IMDプロシード”を年内にも開講すると発表した。IMDプロシードはミディシティ内に設置され、デジタルハリウッドがカリキュラムと教室の提供で、デジタルスケープが卒業生に対する就職斡旋で、アイ・エム・ジェイが講師派遣と現場での実習支援の面でサポートを行なう。
受講希望者に対してはスキルテストを実施することで事前審査を行なうほか、優秀者に対しては授業料の免除といった優遇策も検討しているという。
IMDプロシードを主管するミディシティの太場次一社長、同社ではすでに人材育成に関する実績があるという |