※週刊京都経済4月17日号の特集『就職戦線2000春』の中から、主要企業の人事部へのインタビュー『ソニー、IBMは学生時代の活動重視』を転載する。
日本電産「ポリシーに対する共感度」みる 主要企業にインタビュー
人気企業ランキングで今年も1位(文化放送調べ)のソニーは、新卒採用の面接では「学生時代に物事を率先してやってきたかどうか」を重視する。その理由は「ネットワーク時代においては新しいビジネスに取り組む力が要求されるが、いろいろな活動へのコミットメントについてどう考え、どう動き、どういう結果を出したかについて尋ねることで、ビジネスに使える力を持ち合わせているかどうかが分かる」からである。日本IBMでは「論理的に考える力」を重視する。その力を見るために、二次試験では、学生時代に学んだことに関して15分程度プレゼンテーションをさせ、「自分のやってきたことを他人に分かりやすく説明する力」があるかどうかを判断する。また、三次試験のグループディスカッションでは、一つのテーマを与えて、数名で一つの案件についてディスカッションを行い、その後発表させることで「自分の意見を納得させる力、協調性、リーダーシップ等を見る」という。
本田技研工業は「個性」「チャレンジ精神」を重視する。個性とはその人の「もちあじ」、人間性であるという。同社では毎年2月「ホンダ・オープンスクエア」という会社オリエンテーションを開き、関心の高い学生を募る。即戦力はこれまでの経験が豊富な中途採用で補うため、新卒に求めるのは「将来における付加価値」であり、個性を発揮する人材であるという。
講談社が注目するのは次のようなものである。まず、「様々なことに関心を持ち、新聞・本・テレビを含めた世の中のことを見られる力」を持っているか。つぎに、「マスコミは私性の高いものである」ため「自己主張」のできることがポイントであるという。面接における工夫としては「直接関わる人間が数回面接を行い別の観点から見て判断する」という。その中で「フィットする」、「何かを感じる」人材を求めている。
ソニー・コンピューターエンターテインメントは「即戦力」を重視。「即戦力」とは「業務をやりとげる精神力とそれに必要な技術力や専門能力、知識を持ったクリエイティブな人材」をいう。「技術または専門面接、またグループディスカッションによって主体性や積極性、個性等を見る」という。技術セミナー等による人材の発掘も行っている。
東京海上火災保険はポテンシャルを重視する。金融工学、数理統計といった分野をのぞいては、「専門性は求めない」という。面接官は客観性を保つため、「信頼性」「論理性」「感受性」「主体性」「創造性」という5つの視点で面接を行う。その上で「学生時代にどういうことをやってきたのか」「どう目的意識を持って生きてきたのか」という点に注目する。
日本電産では「同社の社風、ポリシーに対する共感度や本人の考え方や意識を重視」している。「会社と学生のお互いが十分に理解し合えるように、1対1の面接に力を注ぐほか、広範囲の地域から人材を採用できるように、人事部門が地方にも出向いて行き、セミナーや面接を実施する」などの工夫をしている。
村田製作所は「学部生にはポテンシャル、院生には即戦力を重視する傾向が強くなっている」という。即戦力とは「理系でいえば学生時代の研究テーマが同社のそれと一致するかどうか、及びそのテーマのレベル、理解度(専門性)」をいう。それを見極める方法は技術者による面接であるという。
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