サン・マイクロシステムズ(株)は、オペレーティングシステム『Solaris
8』を3月下旬にリリースすると発表、都内ホテルで記者発表会を行なった。
Solaris 8は、日本語はもちろん、英語など37言語の入出力が可能なマルチリンガルのオペレーティングシステム。データセンターおよびインターネットに対応したプラットフォームとして、スケーラビリティー、可用性、管理性、セキュリティー、接続性といった部分の強化が行なわれている。64bitアーキテクチャーに対応するほか、CPUを最大128基までサポート、最大4ノードまでクラスタリングが行なえる。多数のIPアドレスを利用できるIPv6(Internet
Protocol Version 6)にも対応している。さらに、対応するアプリケーションの互換性を保つため、アプリケーションが正しいAPIを利用しているかどうかを検証するツールを搭載する。同社は、この検証をパスしたアプリケーションは、今後リリースされるSolarisの新バージョンでも正しく動作すると保証している。
また、システムを停止せずにCPUやメモリーなどを追加できるほか、システム稼動中にOSカーネルを修正できる拡張ホットパッチ機能、システム稼動中にOSのアップグレード作業が行なえるライブアップグレード機能を搭載する。管理機能は、ネットワーク上のサンのシステムを集中管理できる“Sun
Management Center”、複数のサーバーにウェブ経由でオペレーティング環境をインストール/アップグレードできる機能などが用意されている。
セキュリティーでは、ファイヤーウォール機能や、管理者ごとにアクセス許可レベルを設定できるRBAC機能を搭載するほか、ネットワーク用暗号化方式のIPsec、認証方式のKerberos、スマートカードをサポートする。さらに、EC向けのLDAPディレクトリー“iPlanet
Directory Server”を採用している。
同社は、ホームページを通じてSolaris 8のソースコードを公開し、バイナリーエンドユーザーライセンスを8CPUまで無償で提供する。ソースやバイナリーはホームページからダウンロード可能。CD-ROMなどを利用したパッケージ形態での提供は現在検討中という。また販売代理店を通じてハードウェア製品に添付して提供される。Solarisの販売/OEM/SI/対応ソフトウェアパートナーは、沖電気工業(株)、東芝(株)、キヤノン販売(株)、日本電気(株)、日本ユニシス(株)、(株)日立製作所、富士通(株)など85社(3月6日現在)。
また、サポートサービスとして、Solaris 8導入の際のコンサルティングを行なう“Solaris
8プロフェッショナルサービス”、システム管理者/利用者のための教育メニュー“Solaris
8エデュケーションサービス”を行なう。
記者発表会で、同社代表取締役社長の菅原敏明氏は、「現在、ネットワーク上でポータル“.com”の構築ラッシュが始まっている。また、ゲーム機や携帯電話など、さまざまな機種が数万単位でネットワークに接続してくるため、大規模なスケーラビリティが必要だ。システムの連続運用や、変化に対応できることも重要。Solaris
8は、データセンター向けの垂直型拡張性と、インターネット向けの水平型接続性の両方に対応した製品。ソースコードをオープンにすることで、技術革新を加速し、ユーザー層を広げる」と語った。
また、取締役製品事業統括本部長の細井洋一氏は、「現在、“.com”分野でサンはいい調子だ。そのためバッシングもあるが、それは会社が健康な証拠。ソニーもサンを使っていればサーバーがダウンすることはなかったのでは」と語り、「プライスリストがない製品はこれが始めて。無償にすることで、今のポジションを確保できるだけでなく、PCサーバーにも受け入られていくだろう。インターネットの世界は今後も広がっていくので、上位製品ばかりやっていてもいけない」と締めくくった。
右から、同社代表取締役社長の菅原敏明氏、米サン・マイクロシステムズ社のSolarisソフトウェアシニアディレクターであるMark Himelstein氏、取締役製品事業統括本部長の細井洋一氏、製品事業統括本部ソフトウェア事業部部長の纐纈昌嗣氏 |