文部省が'98年2月より、“学習資源”を教育現場で活用する事業を促進している。学習資源とは固い言葉だが、'98年からの目標ということは、教育現場におけるコンピューターの活用を意識していると考えて間違いない。
今回、24日に、その事業の一環として広島・安佐動物公園と東京・港区の飯倉小学校、京都・朱雀第二小学校、山階小学校、常盤野小学校をマルチメディアテレビ会議システム『Phoenix(フェニックス)』で双方向から中継した。今回の双方向からの中継は、NTTと広島・安佐動物公園とが協力して実現した。テーマは“動物のお医者さん”。
今回取材した、飯倉小学校のコンピューター教室から参加したのは3年生6名。まず各小学校の子供たちからの自己紹介で、授業は始まった。
真剣に画面を見る子供たち |
広島・安佐動物公園から送られてくる動物たちのスライド映像に、まず「かわいい」との声が上がった。また動物園側から子供たちへの質問に、画面に向かって神妙な顔つきで手を挙げた。
そして、途中画像が動かなくなるという思わぬアクシデントに「あれ、どうしたのかな」と騒いだり、質問に恥らいながら答えたりと画面の向こうの子供たちや動物のお医者さんに調味深く見入っていた。しかしやはり子供、ほかの小学校の子供たちが質問されているときはつまらなそうにする子供もいた。4校が参加したということで、「早く飯倉小学校に来ないかな」と言う声も上がった。
コンピューターを利用した遠隔授業というのは、今後の情報社会の中で有効な存在だと感じた。なぜなら、“学習”として提供される情報を知るだけでなく、直接ではないにしろ、異なった地域の異なった文化の子供同士が交流できるからである。聞きなれない方言に反応する子供たちは生き生きと見えた。
一生懸命、手を挙げる様子 |
八つの社会教育施設の協力のもと、“学習コンテンツ化実行委員会”がホームページコンテンツ制作や発信、定点カメラによるインターネットライブの双方向からの中継、また『Phoenix』を使った遠隔授業を行なっている。7月に行われた“レッサーパンダの子育て”に引き続き、このような遠隔授業は、今後も10月、11月、'98年2月、3月と予定されている。現在、遠隔授業に協力している社会教育施設は仙台科学館、マリンピア松島水族館、伊丹市昆虫館、広島市安佐動物園。今後も同実行委員会では、遠隔授業に参加する学校を募っていくという。