前バージョン“slink”のリリースから1年5カ月、Debian GNU/Linuxの最新バージョン2.2 (コードネーム“potato”)がリリースされた。
potatoに採用されたLinuxカーネルのバージョンは、Alan Cox氏のパッチを当てた2.2.16。そのほかの主なソフトウェアのバージョンは次のとおり。
- C Library 2.1.3
- XFree86 3.3.6
- GCC 2.95.2
- GnuPG 1.0.1
- Perl 5.005.03
- Python 1.5.2
- PAM 0.72
- ncurses 5.0
- teTeX 1.0.6
- Emacs 20.7
- XEmacs 21.1.10
- GNOME 1.0.56 [1]
また、potatoでは1200の新しいソフトウェアが追加されたほか、新しい機能も増えており、PAM (Pluggable Authentication Modules)の活用や、ネットワーク関係の設定ファイルの位置の変更、FHS (Filesystem Hierarchy Standard: Linuxシステムのファイル配置の標準)へのさらなる準拠などの点が進歩した。PAMとはユーザー認証をプラグイン化する仕組みで、telnetやPOP、IMAP、PPPなどの認証を、設定ファイルによって柔軟にカスタマイズすることができる。プラグインには使い捨てパスワードのようなセキュリティの高いものが用意されているので、セキュリティ向上にも大きく貢献するはずだ。
日本語追加パッケージ集を統合
主に日本人開発者からなるDebian JP Projectは、slink以前のバージョンに対して、日本語環境などを構築するための「Debian JP Packages」という追加パッケージ集を独自にリリースしてきた。しかし今回のpotatoからは、パッケージ集をリリースしないことを決定した。
その理由は、追加パッケージ集がpotatoに統合されたためだ。Debian Projectはオープンな組織なので、追加パッケージ集を独自にリリースする労力を割くより、Debian Projectにパッケージを提供したほうがよいと判断したことによる。つまり、Debianは単体で日本語環境が構築可能になるよう進歩したわけだ。