ここでは、Storm Linux SE英語版における日本語環境構築の方法をご紹介します。
Storm Linuxを使った簡単日本語環境構築
日本語版の発売 (2000年夏を予定) を先取りして、Storm Linux 2000 SE 英語版(以下、Storm Linux)上で日本語環境を構築する方法を説明します。すべてを網羅することはできませんが、インストール方法さえ分かれば、あとは日本語環境に関連するもの以外のプログラムでも、同様の方法で導入することができます。
Storm Linux は、Debian ベースのシステムであり、プログラムの追加や削除は簡単です。apt-getコマンドを使っていくつかの日本語ソフトウェアをインストールします。
So easy! apt-getコマンド
dselect コマンドを使う方法もありますが、初めて見る人の多くが拒絶反応を示すので、apt-getコマンド一発でソフトウェアをインストールしていきましょう。apt-getコマンドの詳細は、「man apt-get」 としてmanページを参照してください。
ここで使うapt-getコマンドの書式は次のものだけです。
- データベースの更新
- apt-get update
- インストール
- apt-get install パッケージ名
- 削除
- apt-get remove パッケージ名
インストールの準備
まずはじめに、コンピュータをインターネットに接続してください。そして、kterm(ターミナルで日本語表示をするためのエミュレータ)をインストールするためのパッチをダウンロードします。これはXsession.patchといって、Stormix Technologies Inc.のサイトにあります。ここをクリックしてダウンロードしてください(パッチを保存する場所は任意の場所でかまいません) 。パッチがうまくダウンロードできない場合は、http://www.stormix.com/japan/support/bugs_htmlのページからダウンロードをしてください。
次に、端末を起動してください。画面の下にあるモニタの図柄のアイコンをクリックすれば起動できます。デフォルトの環境では端末で日本語が表示できないため、日本語の表示ができるktermをインストールしましょう。
端末を起動したら、ルートになってください。
$ su Password: (ルートのパスワードを入力)
ルート権限の状態で、以下のコマンドを実行します。
# /usr/bin/patch -b -d /etc/X11 -p0 < ./Xsession.patch
ここまでできればあとは簡単です。apt-getコマンドだけで次々とバイナリをインストールできます。
日本語対応ソフトウェアのインストール
それでは、apt-getコマンドを使ってインストールを実行してみましょう。apt-getコマンドの1番目の引数に「install」を指定して、2番目の引数にはパッケージ名を指定します。たとえば、XEmacsをインストールしたい場合には、パッケージ名「xemacs20-mule-canna-wnn」と指定します。すると、XEmacs のファイルと共に関連の必要な6つのファイルも自動的にインストールされます。それでは、次のようにして、各ソフトウェアをインストールしてください。
# apt-get update # apt-get install xemacs20-mule-canna-wnn # apt-get install xfonts-cjk # apt-get install intlfonts-japanese # apt-get install intlfonts-japanese-big # apt-get install canna # apt-get install man-db-ja # apt-get install manpages-ja # apt-get install kinput2-canna # apt-get install kterm
以上でインストールは終了です。簡単ですね?
各コンフィグレーション・ファイルの設定
プログラムをインストールしたら、.emacs などの設定ファイルを調整します。まずユーザでログインし直します。
# exit (一般ユーザーに戻る)
次に、以下のファイル(ドットファイル)をダウンロードして、ホームディレクトリ(/home)にコピーしてください。これらのファイルは、Debian Package (dpkg) のuser-jpを実行して自動生成されたものです。
- .Xresources
- .bash_logout
- .bash_profile
- .bashrc
- .canna
- .cshrc
- .emacs
- .inputrc
- .nexrc
- .nexrc-m17n
- .nexrc-m17n-canna
- .xsession
これらのファイルがホーム・ディレクトリにコピーされたことを確認するには、「ls -la」と入力してください。
あとは設定ファイルの内容を有効にするために、一度ログアウトしてください。ログアウトは、マウスの左ボタンで現れるウィンドウから、一番下にある「logout」を選択します。そしてもう一度ログインしなおせば、日本語環境の完成です。
使ってみましょう!
それではちょっと試してみましょう。任意の端末上で「xemacs &」と入力すると、XEmacs のウィンドウが現れます。コマンドの後ろに「&」を付ければ、バックグラウンド・ジョブとして実行されます。さて、そのXEmacs 上で [Ctrl] キーを押しながら縦棒の [ | ] キーを押してください。canna が起動されて日本語入力できるようになります。解除するときは、再び [Ctrl] キーを押しながら [ | ] キーを押してください。
次は、「kterm &」を実行してください。ここで「man ls」を実行すると、lsコマンドに関する説明が日本語で表示されます。kterm 上で日本語入力をするには、[Shift] + [Space]キーを押すことで、kinput2からの日本語が入力できるようになります。
Web ブラウザはどうでしょうか? モデム・ユーザーは、モデムの設定を、kppp、ppxpなどを使用して設定してください。カーネル・ローダーはインストールされていないので、modprobeコマンドでppp、ppp_deflate、さらにslipモジュールをインストールして、インターネットに接続してください。
$ su Password (ルートのパスワードを入力) # modprobe ppp # modprobe ppp_deflate # modprobe slip # exit
上記の設定が起動時にロードされるように、/etc/modules ファイルに書いておくとよいでしょう。
ここでは、モデム接続についての詳細説明を省略しますが、PPP接続のHOW-TOものや、その他の資料を参考にして自分でトライしてみてください。KDEの「Network」にあるkpppなどを利用すれば簡単にできると思います。今回のFTP版では、SASのダイアルアップ・モジュール機能がまだ不十分(PAPのみサポート。CHAPもサポート予定)であり、不具合も残っているため使用しませんでした。
インターネットに接続できたら、「netscape &」と入力してください。Netscape Communicatorで日本語を表示するには、「View」メニューの「Character Set」にある「Japanese (Auto-Ditect)」を選択します。その後、メニュー・ボックスが一度消えるので、再度「Character Set」を選び、次に一番下にある「Set Default Character Set」を選択すれば、基本設定は完了です。
池田篤司(いけだあつし)
プロフィール
工学院大学情報工学コース卒業後、1990年 (株)PFUに入社し初めてUNIXを知る。SystemV系リアルタイムOSのカーネルの開発、保守に携わる。1994年、不況の中強気で会社を辞め渡加。
1997年にLinuxを使い始める。1998年、Netnation Communicationsに入社し、1999年にStormix Technologiesが設立され移籍する。