「2009年問題」で派遣切りが加速する
年度末を控えて、雇用調整が加速してきた。自動車メーカーや電機メーカーなど輸出産業を中心にして、大幅な人員削減が続いている。さらに関係者が心配するのが2009年問題だ。2006年に「偽装請負」が批判を浴びたことから、多くの企業が請負契約を派遣労働に切り替えたが、その契約期限が3月にやってくる。
労働者派遣法が2007年に改正され、製造業への派遣期限が1年から3年に延長されたが、派遣契約が3年を過ぎると、派遣先の企業は労働者を直接雇用するか、派遣契約を打ち切るかの選択を求められる。契約を打ち切った場合は3ヵ月間、再契約はできないので、4月から3ヵ月間、現場に「空白」ができる、というのがこれまで騒がれていた問題だった。
しかし情勢は一変した。未曾有の経済危機によって「派遣切り」が激増し、年度末を契機に派遣契約を切る企業が増えると予想される。かつては3ヵ月間の人手不足が心配されていたが、いま心配されているのは、派遣労働者が契約を切られたままになってしまう問題だ。どっちにしても、製造業の現場に大きな混乱が生じることは避けられない。
製造業の派遣労働者は46万人で、そのうち年度末に契約期限の来る労働者は、厚生労働省の推定でも8万5000人。請負や契約社員も含めると、製造業だけで年度末に40万人が職を失うという業界団体の試算もあり、完全失業率が2002年に記録した5.5%を上回るおそれが強い。これから始まる来年の就職戦線でも、新卒の採用が大幅に削減され、平均の2倍近い若年失業率が、さらに上昇することが懸念されている。
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