ASCII.jpヘッドホン研究所 第9回
ASCII.jpヘッドホン研究所
音切れを低減した高音質サラウンドヘッドホン――パイオニア「SE-DRS3000C」
2008年05月15日 13時00分更新
当初はいささかキワモノ的な目で見られることもあったサラウンドヘッドホンだが、現在は確固たる市場を得たと言ってよいだろう。「サラウンドは楽しんでみたいけど本格的なシステムを組める環境にない」という方にとっては福音である。
今回紹介するのは同分野の最新製品である、パイオニア(株)の「SE-DRS3000C」だ。型番からして、その音質の良さで好評を博した同社「SE-DIR2000C」の後継機と思われ、期待が持てる。
Point 1 ドルビーヘッドホン技術を搭載
まずは肝心要のサラウンド再生機能について確認しておこう。
ヘッドホンでサラウンド再生を実現する技術はいくつかあるが、本機は米ドルビー・ラボラトリーズ社の「ドルビーヘッドホン」技術を採用している。音響技術のトップランナーであるドルビーによるヘッドホンサラウンド技術であり、信頼の置けるものと言える。
また、ドルビーヘッドホンには3つのモードが用意されており、視聴作品によって使い分けることで、音場の感触を調整できる。
- DH1 ミキシングルームのように残響を抑えた空間
- DH2 適度に残響のある一般的なリスニングルーム(初期設定)
- DH3 小規模な映画館
これらの効果については試聴時に改めてチェックする。
Point 2 確実性を高めた無線伝送
ワイヤレス伝送には2.4GHzデジタル無線方式を採用している。しかも、3つのチャンネルから干渉の少ない最適な周波数を選択し、さらにデータを3回送信(普通は1回)することで受信の確実性をさらに高める「3×3送信システム」によって、電波干渉による音切れを少なしている。最大伝送距離は約30m。実際そこまで離れて使うことはないだろうが、送受信性能に余裕がある証拠だ。
トランスミッター部が充電スタンドを兼ねる構成で、ヘッドホンの充電はスタンドに載せるだけ。充電し忘れることはないだろう。
ヘッドホン側に電源スイッチを持たず、装着すると頭の上にくるバンドが引っ張られて自動で電源が入る仕組みはサラウンドヘッドホンでは一般的になりつつあるが、やはり便利。このあたりは手抜かりない製品だ。なお、ヘッドホン側に用意されているスイッチは音量のみだ。
ヘッドホン本体の見た目は重厚だが、装着するとさほど重くない。イヤパッドにはバックスキン素材(毛羽立たせた革)が使われており、耳の触れ心地もよい。
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