月刊アスキー 2008年3月号掲載記事
東京アメッシュ http://tokyo-ame.jwa.or.jp/
![東京アメッシュ 東京アメッシュ](/img/2008/02/22/39864/l/69b0de742e9619c3.jpg)
お役所らしからぬキャッチーな名称は、運用開始時に職員の提案で決めた。なお、他の自治体の下水道関連部署でも、埼玉県が「アメネットさいたま」、横浜市が「レインアイよこはま」、大阪市が「大阪市都市環境局降雨情報」、神戸市が「レインマップこうべ250」を提供。
東京近辺の会社なら、帰宅時間に雨が降り始めると、社内のパソコンの多くに降雨情報サイト「東京アメッシュ」の画面が表示されているのでは?
東京アメッシュはサイトの構成がシンプルでわかりやすく、レーダー画面も大きいので、いまどこで雨が降っているのかをひと目で確認できる。雨の多い月には月間ページビューが100万を超えるなど、重宝する人は多いだろう。
![東京アメッシュを手がける2人 東京アメッシュを手がける2人](/img/2008/02/22/39865/l/10cacf8f0895e39d.jpg)
東京アメッシュを手がける東京都下水道局 施設管理部 施設管理課 運転情報管理係長の大橋秀郎氏(左)と、同係次席の工藤 賢氏(右)
ところでこの東京アメッシュ、運営しているのはITベンチャーでも気象庁でもない。実は東京都“下水道局”だ。
なぜ下水道局がと思われるかもしれない。だが降雨情報の収集は、下水道局にとって、まさに本業の一部なのだという。
下水道の果たす役目は大きく分けて2つ。1つは、汚水・生活排水を集めて処理することだ。だが下水道にはもう1つ、雨水の排除という役目がある。
洪水を防ぐには、東京都の場合、都内に83カ所あるポンプ場を作動させるなどして、下水管に流れ込んだ雨水を適切に排水せねばならない。そして、そのためには局所的な大雨の状況を随時把握する必要がある。
![レーダーサイトなど レーダーサイトなど](/img/2008/02/22/39866/l/d2665de0dd10a733.jpg)
![](/img/2008/02/22/39867/l/23a810e77220f9a8.jpg)
![](/img/2008/02/22/39868/l/2c0e28790c038db5.jpg)
左から、稲城市のレーダー基地局、港区のレーダー基地局、そして都内86カ所に置かれる雨量計。東京都下水道局はこれら自前の降雨レーダー2基と雨量計に加えて、近隣自治体のレーダー情報等の提供も受けて、精度の向上を図っている。
だが、気象庁の降雨情報は全国をカバーするぶん精度は1キロメートル単位であるため、細かい状況把握が難しい。そこで、下水道局は自前でレーダー等を設置し、最小で250メートル単位という精緻な観測を行うようになった。これが東京アメッシュの発端で、最初のシステムは'88年に運用を開始、2002年にはウェブや携帯電話で広く一般へ情報提供を始めた。
サイト公開は防災対策の一環であって、ここで収益を上げているわけではない。とはいえ、東京アメッシュの降雨情報は日本気象協会等へも提供されており、今後、それらの事業者からビジネスが広がるかもしれない。
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