ソニーのカナル型イヤホン「EXモニター」シリーズに、「MDR-EX90SL」(以下EX90)の上位版となる「MDR-EX700SL」(以下EX700)が投入された(関連記事1)。
EX90といえば、「1万円以内でいい音のカナル型」という位置づけで好評を博した製品だ(関連記事2)。EX700は実売3万円という高価格イヤホンなので、さらなる高音質が期待できそうだ。
16mmという
カナル型では最大級のドライバー
まずは、外観や構造をチェックしてみよう。EX700はEX90をさらに発展させた構造になっており、単なる改良版には終わっていない。
そもそもEX90も、耳の穴に入れる部分と、ユニットを収納するハウジング部分を独立させるという一般的なカナル型とは大きく異なる構造で、13.5mmのドライバーユニットを実現した。大型のドライバーによって帯域とダイナミックレンジを素直に広げることで、自然な高音質化を果たしたのだ。
EX700では、さらに大口径化を推進。ヘッドホンのハウジング/ユニットは、一般的に耳の穴に対して平行方向に置かれているが、EX700では垂直方向に配置することで、16mmというサイズのドライバーユニットを搭載した。
そのほか、マグネシウム製のハウジング、「マルチレイヤーフィルム振動板」といったところも新たに採用されており、少なくともスペック上ではEX90から明確な進歩が見られる。
EX90より進化したイヤーピース
加えて見逃せないのは、付属のイヤーピースも進化した点だ。イヤーピースは、軸の部分がハードシリコン、周囲がソフトシリコンという2層構造になっており、しかも直径と深さの異なる全7種類が付属するようになった(EX90は3種類)。
形状もEX90から変更されて、耳穴へのフィット感が増している。具体的には、耳穴に差す側の直径が小さくなって、砲弾のように角度が付く形となった。音質と遮音性、装着感にいい影響をもたらすだろう。
実際、装着感は実に快適だ。もちろん個人的な好みの部分も大きいだろうが、EX90に違和感のなかったユーザーなら、それと同等かそれ以上に満足できるだろう。EX90と共通なのは「奥まで入れてます」というカナル型っぽさが薄いことだ。カナル型に抵抗感のあった方も試してもらいたい。
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