1000万画素超クラスのデジタルカメラが各社から登場するなか、カシオ計算機(株)の“EXILIM”(エクシリム)シリーズの最上位モデルとなる1200万画素機が5月30日に発表された『EXILIM ZOOM EX-Z1200』だ。
コンパクトなボディーに沈胴式光学3倍ズームレンズを搭載するのは、EXILIMとしてはスタンダードなデザインで、従来機『EXILIM ZOOM EX-Z1050』(有効1010万画素)(関連記事)をそのまま継承したデザインとなっている。CCDシフト式光学手ぶれ補正の搭載やレンズの焦点距離などもほぼEX-Z1050と共通だが、サイズ的には幅で2mm、高さで1mm大きくなり、厚みは2mm薄くなるなどの相違点がある。
本体の厚みが減少しているのは、同社『EX-Z700』と同様の沈胴時にレンズの一部がスライドする構造を採用しているためで、外観上でもレンズが鏡胴中央にあったEX-Z1050に対し、中心からズレた位置となっている。
幅や高さがやや大きくなっているのはEX-Z1050が2.6インチ液晶パネルを搭載しているのに対して、EX-Z1200は2.8インチへとやや大型化していることが大きいだろう。液晶パネルの明るさはEX-Z1050の1000cd/m2から1400cd/m2へとさらに明るくなり、日中屋外での視認性は非常によい。最近ではデジタルカメラの液晶パネルも明るくなって屋外で見やすくなったとはいえ、やはり液晶パネル側に日が当たるようなケースでは見づらくなるものだが、本機ではメニュー/被写体とも見やすく、液晶パネルを手でかざして影にするような必要はまったくなかった。
液晶パネルはEX-Z1050と同様にワイドタイプで、画面右端に縦長のアイコンバー(操作パネル)を配置することで、撮影時にカーソルを上下するだけで各機能にすばやくアクセスできるのも同様だ。従来のように画面の四隅に各種ステータスを表示する方式も選択できる。
撮影機能はプログラムオートとシーンプログラム(同社お得意の“ベストショット”)のほか、絞り優先オート、シャッター速度優先オート、マニュアル露出も用意されている。絞り優先は開放(F2.8)/絞り(F8.0)の2段階のみではあるが、マニュアル露出系機能を持つことで風景撮り/ポートレート/夜景などの作画をシーンプログラムよりも細かく作れるのはありがたい。また、動画撮影は最近のEXILIMと同様にH.264/AVC準拠QuickTime形式で記録され、ワイド(848×480ドット)/20fpsの動画で、1GBあたり約18分54秒の撮影が可能だ。
掲載当初、アイコンバーの配置位置を“画面左端”と記載しましたが、正しくは“画面右端”になります。また、動画撮影スペックをワイド(848×480ドット)/30fpsと記載しましたが、正しくはワイド(848×480ドット)/20fpsとなります。お詫びして訂正いたします。 (2007年6月16日)
最近のデジタルカメラの流行である光学式手ぶれ補正に加えて、高感度化(シャッター速度の向上)による被写体ぶれの防止、さらに画面内に動く被写体があれば“動き検出”によってシャッター速度(および感度)が自動アップする“ブレ軽減オート”の3種類のぶれ防止機能を持つ。感度はマニュアルでの設定や自動設定ではISO 50~400相当、ブレ軽減オートでは最高ISO 800相当まで、シーンプログラムの『高感度』では最高ISO 1600相当まで増感する。EX-Z1050では高感度モードで最高ISO800相当だったのでやや向上したことになる。
また、連写モードとして記録画素数を“3M”(2048×1536ドット)に落として秒3コマ記録を可能とする“高速連写”がある。EX-Z1050では2Mモードにしての秒7コマだったので、記録画素数は上がったものの連写速度が落ちたのは残念。なお、秒3コマ連写ではフラッシュも追従して発光する。
EXILIMシリーズは4倍デジタルズーム(画素補間式)に加え、設定した記録画素数までは補間なしに中央部を切り出すタイプのデジタルズーム“HDズーム”機能も持つが、記録画素数をVGA(640×480ドット)に設定すれば最大18.7倍(EX-Z1050では17.1倍)まで拡大可能となっている。また、ベストショットには画面内の動く被写体に合わせて撮影フレームが追従して動いて切り出して撮影する“オートフレーミング機能”も用意されている。撮影時には5Mモード(2560×1920ドット)になるものの、光学ズームをやや広角にしたままで撮っておけば、メインとなる被写体を中心に大きく切り出して記録することができる。