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アスキー格安SIM通信速度比較 第94回

主な不満点は「料金の落とし穴」「通信速度」

格安SIMの通信速度を4ヵ月間平日毎日計測してわかった「MVNOへの不満点」

2018年05月19日 21時30分更新

文● ちゅーやん

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 今年1月半ばから開始したASCII倶楽部での格安SIM通信速度計測は、早いもので4ヵ月が経過しようとしています。当然のことですが、格安SIMの通信速度を計測するために実際に我々が各回線を契約し、手元で毎日コツコツ計測しています。そのため、利用者目線で見えてきたことなどもさまざまあるわけです。

 ということで、本稿では4ヵ月間計測し続けてわかった「格安SIM」のことをいくつか紹介します。これから格安SIMを契約しようと思っている方、いま現在格安SIMを使っているけれど不満を持っている方などの参考になれば幸いです。

 本題に入る前に、ASCII倶楽部で計測している格安SIMと、いま現在の計測レギュレーションを公開します。

ASCII倶楽部で測定している格安SIM

・IIJmio(ドコモ回線)
・BIGLOBEモバイル(ドコモ回線)
・OCNモバイルONE(ドコモ回線)
・LINEモバイル(ドコモ回線)
・mineo(ドコモ回線)
・mineo(au回線)
・DMMモバイル(ドコモ回線)
・nuroモバイル(ドコモ回線)
・UQ mobile(au回線)
・Y! mobile(ソフトバンク回線)
・b-mobile(ドコモ回線)
・楽天モバイル(ドコモ回線)

ASCII倶楽部 格安SIM通信速度測定レギュレーション

調査場所:東京都新宿区 神楽坂
調査時間:12時、15時、18時
調査方法
1、速度測定には「Google スピードテスト」を使う
(グーグル検索で「スピードテスト」と検索すると利用可能)
2、各調査時間でSIMごとにそれぞれ5回ずつ計測し、中央値を算出する
使用端末:ASUS「ZenFone Live」

※掲載している通信速度はASCII倶楽部が独自に計測した内容です。通信速度を計測する場所、機材、時間帯によって通信速度は変動するため、実際の通信速度を保証する内容ではございません。

格安SIMのメリットは「とにかく安いこと」

 それでは本題です。4ヵ月間も使っていれば、格安SIMのメリットとデメリットなどが自然と見えてきます。最初に、格安SIMのメリットからいくつかピックアップして紹介します。

1、予想以上に格安SIMに移行するのは簡単

楽天モバイルを契約するときに必要なもの

 スマホなどを契約するときって、意外にも手間のかかる要素が多いです。本人確認書類を用意したり、場合によっては実店舗に行く必要があったりします。とくにキャリアで初めて申し込むときの面倒な印象が根付いていたのか、「格安SIMを使うのも面倒なのでは」と思っていました。しかし、格安SIMを使うということだけであれば、契約するのは非常に簡単です。

 契約するプランにもよりますが、こちらで用意するのは「クレジットカード」だけで事足りる場合があります。音声通話SIM(080や090で始まる電話番号を使った通話ができるSIM)を契約するときは、キャリアなどと同じように本人確認書類が必要ですが、データ通信専用SIMであれば先述したようにクレジットカードさえあればいいのです。

 また、以前は格安SIMというとネット上で契約できませんでしたが、最近では実店舗を構える事業者も登場しています。データ通信専用SIMであれば、お店の混み具合にもよるものの「データ通信専用SIMください」と店員さんに伝えるだけで一瞬でもらえます。家に帰ったあとなどに支払い先を選択して、開通作業をすればすぐに使えるようになります。ちなみに、音声通話SIMを契約する場合は、MNPや本人確認書類のアップロードなどの作業が必要なので多少時間かかります。

 いずれにせよ、格安SIMは予想以上に契約するのは簡単です。面倒だと思って敬遠している方は逆に損をしているのでは、と思うほど。ASCII倶楽部で契約する際も、各回線をそれぞれ契約してからすぐに郵送されました。年明けに「格安SIMの通信速度を計測したい」と企画を出してからすぐに取り掛かれたのも、このスピード対応があったからこそ。

2、「格安」のとおり月額料金をとにかく安くできる

mineoの月額料金表

 多くの人の格安SIMへのイメージは「スマホの料金を安くできる」という感じでしょう。正解です。

 格安SIMには「プラン」がいくつもあるため、自分に必要なモノだけを取捨選択して契約できます。そのため、不必要なオプションに料金を払う必要もなくなるので、月額料金を安く抑えることが可能です。

 最もわかりやすい例は「電話番号を使った通話をするかどうか」ということ。「1」の項目でも触れましたが、格安SIMは大きく分けて2種類存在します。ひとつは「電話番号を使った通話ができるSIM」(=音声通話SIM)。もう一方は「電話番号を使った通話ができないSIM」(=データ通信専用SIM)。前者のSIMは、キャリアで契約していたときと同じように、スマホにある「電話」を使って通話が可能です。一方で後者のSIMは、080や090で始まる電話番号を使った通話をすることができません。

 当然ながら、音声通話SIMのほうが月額料金が高くなります。事業者によって若干異なるケースはあるものの、データ通信専用SIMに比べて月額料金は700円前後上乗せされます。ただ、最近では「LINE」や「Facebookメッセンジャー」などのアプリを通して通話をする人が増えています。実際、私自身もプライベートでの通話はこれらのアプリしか使っていません。私のような人の場合は、電話番号を使わないので音声通話SIMを契約する必要もなく、データ通信専用SIMで問題ないのです。つまりは、月額料金を700円も安くできるということです。

 ASCII倶楽部で契約している格安SIMは、一部を除けばいずれもデータ通信専用SIMです。言うまでもなく、通信速度の計測でしか使わないので音声通話SIMを契約必要がないから。

 音声通話SIMかデータ通信専用SIM以外にも、キャリアでは加入必須だった人によっては不要なオプションなども格安SIMには存在しないことが大半です。自分にとって必要なオプションだけつければいいので、不要なオプション料金を取っ払える意味でも安くできます。

3、事業者が実施しているキャンペーンはかなりオトク

BIGLOBEモバイルが記事執筆時点で実施しているキャンペーン

 毎週不定期にお得な製品やキャンペーンを取り上げるこちらの連載でもたびたび紹介していますが、格安SIM事業者は頻繁に「新規契約者を対象としたキャンペーン」を実施しています。月額料金を割り引いたり、一定期間後にキャッシュバックとして現金をもらえたり、格安スマホを激安で購入できたりと、内容はさまざま。

 もともと月額料金が安いのがウリの格安SIMですが、これらのキャンペーンを利用することで、さらに安く使うことができます。

 キャリアで契約していた方が格安SIMに乗り換えやすいタイミングは「契約満了月」が多いでしょう。キャリアでは契約を自動更新されてしまうことがあり、特定の期間以外に解約すると「契約解除料」などと呼ばれる違約金が発生します。これを嫌って、契約満了月に解約し、ほかのキャリアもしくは格安SIMに乗り換えるパターンが多いのでは?

 格安SIMの選び方はひとそれぞれですが、私個人としての意見であれば「キャンペーン」を第一に置いて検討します。自分が乗り換えをするときに、自分にとってオトクなキャンペーンを実施している格安SIMを候補に挙げるということです。なお、そのほかの検討材料は、特定のアプリなどで使用する通信量をカウントしないなどの格安SIMごとに異なる「オプション」、データ通信の生命線である「通信速度」なども踏まえて選ぶといいでしょう。

 ASCII倶楽部で契約する際も、一部の格安SIMで実施していたキャンペーンを利用して加入しました。毎日計測すると膨大なデータ通信量が必要なので、データ通信量を増枠してもらえるようなキャンペーンを積極的に使っています。

格安SIMを実際に使うと不満点を感じざるを得ない

 ここまでは格安SIMを使って感じたメリットを3つ紹介しました。ただ、人によっては「これだけ?」と思う方もいるかもしれませんが、実際のところ料金が安くなるという恩恵が非常にありがたいのは事実です。それこそ、キャリアでは毎月7000円程度発生していた月額費用を、格安SIMに乗り換えたことで1000円台まで抑えることができることも。

 それでは、ここからは本題でもある格安SIMを実際に4ヵ月使ってわかった不満点を紹介していきます。主に記載する内容は「料金の落とし穴」「通信速度」の2点。料金の落とし穴については、「実際に発生したこと」などの実体験を踏まえての内容。通信速度の項目では、ASCII倶楽部で計測したデータを基に不満点を記載します。

1、高額請求の可能性もある「データ容量の追加」

 格安SIMでは、契約する際に「データ容量」を選びます。毎月使えるデータ容量のことで、3GBや6GB、10GBなどのプランを指します。契約したデータ容量をオーバーすると「通信制限」状態になります。通信制限になってもデータ通信を使うことはできますが、「低速モード」などと呼ばれるものに切り替わり、とてつもなく遅い速度になってしまいます。128kbps~200kbps程度まで制限をかけられ、ネットの閲覧すら満足にできなくなります。

 通信制限をかけられたとき、解除する方法は「翌月まで我慢する」か「データ容量を追加で購入する」のいずれか。

 前者のように「我慢」できるのであればいいのですが、そうでない場合はデータ容量を購入する必要があります。それこそ、私の場合は「格安SIMの通信速度を計測するという仕事」があるため、通信制限に引っ掛かってしまったらおしまいなのです。

 キャリアの場合は、auでもドコモでもソフトバンクでも1GBあたり1080円です。1GBあたりにしては高いか安いかはさておき、どのキャリアも同じ価格で追加購入できます。格安SIMでもデータ容量を追加購入することは可能です。ただ、この「データ容量の追加購入」という行為は予想以上に割高な格安SIMもあるので注意が必要です。

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