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Swift Playgroundsで学ぶiOSプログラミング 第53回

ピッカービューで項目の選択が容易に

地名を選んで天気予報を表示するプログラム

2017年09月04日 17時00分更新

文● 柴田文彦 編集●吉田ヒロ

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 前々回から、インターネット上で無償公開されている天気情報のAPIを使って、簡単な天気予報を表示するプログラムに取り組んでいます。前回までで、天気予報を知りたい地域のコードを数字で入力すると、その地域の天気概況と、明日の天気予報をアイコン付きで表示するところまでのプログラムができました。

 しかし、前回の最後にも述べたように、そのプログラムには、6桁の数字で表された地域コードを知らないと、天気情報を引き出せないという欠陥がありました。そのままでは実験レベルでしか使えないプログラムです。

 そこで今回は、iOSの標準的なユーザーインターフェースであるピッカー(UIPickerView)を使って、ユーザーが地域の名前を選択するだけで自動的に地域コードが入力されるようにしてみます。ただし、ピッカーはテーブルビューとよく似た、ちょっと複雑な仕組みを持つインターフェースです。単に配置して選択肢をセットすれば終わりというものではありません。今回は、このピッカーの使いこなしに注力して、地域名の選択によって地域コードを入力する部分だけを作ります。天気予報プログラムとの結合は、次回に持ち越します。

ピッカーの使い方を知る

 ピッカーを利用するには、UIPickerViewクラスのオブジェクトを画面に張り付ける、つまりビューコントローラーのビューのサブビューとして追加することがまず必要となります。そかし、それだけでは何も表示されません。とりあえず、ピッカーの選択肢となるデータを与えてやる必要があるのは明らかでしょう。

 しかしそのデータは、固定的な配列などをピッカーオブジェクトのプロパティにセットするなどして直接与えればいいというわけではありません。ピッカーの「データソース」として登録したオブジェクトに対してピッカーがいろいろと情報を問い合わせてくるので、それに対して答えることでピッカーは内容を表示できるようになります。例えば「選択肢は全部でいくつ?」とか、「n番目の選択肢の値は何?」といった問いに答えます。データソースでは、あらかじめ選択肢を配列として用意しておくのが普通ですが、プログラムの実行中にダイナミックに選択肢が変化する状況に対応したり、場合によっては、プログラムでその都度選択肢を生成するといった使い方も可能となります。

 また、ピッカーはユーザーが選択肢の中からどれかの項目を選んだことをプログラムに知らせるために「デリゲート」という仕組みも使います。これはピッカーを利用する側のオブジェクト(それがデリゲートになる)が、あらかじめ用意しておいた既定の名前のメソッドを、ピッカー側から呼び出すことによって通知してくるのです。このようなピッカーのデータソースとデリゲートの仕組みは、テーブルビューとまったくと言っていいほど同じです。

 とりあえず必要最小限の構成で、ピッカーを動かしてみましょう。

基本的なピッカーのプログラミング方法を確認するため、ビューコントローラーをピッカーのデリゲートとデータソースに指定し、7つの都市名の文字列からなる配列を用意しました

 このプログラムでは、用意したビューコントローラーに対して、UIPickerViewDelegateとUIPickerViewDataSourceという2つのプロトコルを指定して、ピッカーのデリゲートとデータソースに設定しています。ビューコントローラーの中ではピッカーのオブジェクト(aPicker)を作成し、ピッカーに選択肢として表示する文字列として、7つの都市名を表す文字列の配列(areas)も定義しています。

 viewDidLoadメソッドの中では、ビューの背景色を白に設定したあと、ピッカーのデータソースとデリゲートとして、このビューコントローラー自身(self)を指定しています。その後、ピッカーのフレームを適当に設定してピッカーをビューコントローラーのビューに張り付けます。

 ピッカーがこのビューコントローラーの中で機能するために必要なメソッドとしては、指定されたコンポーネント(ピッカーの1つのダイヤル)に要素がいくつあるか、ピッカーにはいくつのコンポーネントがあるのか、そして、指定された行に表示すべき値(文字列)は何か、の問い合わせに答える3つを実装しています。

ピッカーからビューコントローラーに問い合わせてくるための3つのメソッドをビューコントローラー内に用意します。それぞれ、選択肢の数、コンポーネント(ダイヤル)の数、指定した行に表示する内容を表す文字列を返すものです

 これだけで、とりあえず最も基本的なピッカーは動きます。プログラムを起動すると、7つの都市名を選択肢とするピッカーが画面の左上近辺に表示され、実際に動かしてみることができるようになります。

とりあえず7つの都市名から1つを選ぶピッカーが表示されました。指で上下にフリックすることで滑らかに回転します。まだ選んだ都市名に対する処理は何も実装していません

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