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アスキー的パソコン大解剖 第3回

PCの冷却がどれぐらい性能に影響するかを知る!

パソコンは夏に弱い! 正しいPC冷却方法は知ってる? (1/4)

2017年08月05日 13時00分更新

文● 宮里圭介  編集●ジサトラショータ

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 連日、30度を軽く超える日々が続く夏。人間もそうだが、PCもまた暑さに弱い。気温が高くなってきてから、長時間の利用でいわゆる「ブルースクリーン」でPCが止まってしまったり、高い負荷をかけると動作が急激にカクつくといった現象(サーマルスロットリング)がおこるのであれば、多くの場合、その原因は冷却性能不足にある。安定して動作させるため、PCをどう冷却すればいいのかを考えてみよう。

 PCでの最重要冷却パーツといえば、CPUクーラーが挙げられるだろう。まずは、このCPUクーラーがどうやってCPUを冷却しているのか、どういったクーラーがよく冷えるのかを簡単におさらいしておこう。

よく冷えるCPUクーラーの条件とは?
1.ヒートシンクの体積が大きいほど温度が上がりにくい

 CPUクーラーはCPUから出る熱をヒートシンクへ移動し、このヒートシンクへファンの風を当てることで熱を逃している。熱の移動を追ってみると、『CPU→ヒートシンク→空気中』といった流れになっているわけだ。この熱がスムーズに移動するほど、CPUクーラーの冷却性能が高くなる。

 では、熱の移動をスムーズにするにはどうすればいいだろうか。基本的に、熱は高いところから低いところへと移動するが、温度差が小さければこの移動は緩やかになり、同じ温度になると移動が全く起こらなくなる。つまり、熱を移動しやすくするには簡単に温度差がなくならないようにすることが大事なわけだ。具体的にいえば、ヒートシンクの体積が小さいとすぐに熱くなってしまい、温度差がなくなってしまうだけに、体積の大きなヒートシンクを採用しているクーラーほど冷却性能が高くなりやすい。

左がロープロファイル向けの小型CPUクーラー『Engine 27』、右がやや大型のサイドフロークーラー『阿修羅』。ファンの回転数などにも左右されるが、基本はヒートシンクが大きい方が冷却性能が高くなりやすい

 もう少しイメージしやすい例として、お湯を沸かす場合を考えてみよう。少量の水ならすぐに沸騰するが、水の量が増えるほど沸騰するまで時間がかかってしまう。ヒートシンクもこれと同じで、体積が小さければすぐに熱くなるし、体積が大きければなかなか熱くならないわけだ。

 もちろん、ヒートシンクの形状や素材によっても性能が変わるので、必ずしも体積が大きければ冷却性能が高いというわけではないのだが、大まかな傾向として、体積の大きい方が有利というのは間違いない。

2.ヒートシンクの形状は表面積が大きいほど有利

 ヒートシンクの体積と同じくらい重要なのが、その形状だ。熱はヒートシンクの表面から逃げていくため、表面積が大きいほどよく冷えるヒートシンクとなる。車やバイクのエンジンに多数のフィンがついているのは単なるデザインではなく、表面積を大きくして冷却性能を高めているわけだ。

 CPUクーラーの場合も同じで、フィンの数を増やして表面積を大きくしているものが多い。ただし、いくら表面積を広げるためとはいえ、複雑な形にしてしまうと熱がこもりやすくなる。結果、ヒートシンクの表面と空気中との温度差が小さくなり、熱が逃げなくなる……なんてことになったら本末転倒だ。

表面積を大きくするため、CPUクーラーの多くはこうしたフィン形状を採用している

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