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一眼レフとの違いから、最新注目機種のレビューまで

基礎から分かる、最新ミラーレスカメラの選び方 (1/5)

2017年02月24日 16時30分更新

文● 周防克弥 編集●ASCII

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 “デジイチ”という言葉がある。ミラーレスと一眼レフは、どちらもレンズ交換が可能なデジタルカメラとして混同されがちだ。見た目も似ていて、実のところなにが違うのだろうか、と思う人がいるかもしれない。この記事はミラーレスの特集だが、話のついでに“この名称”について、ちょっと触れておきたい。

「ミラーレス」と「一眼レフ」は構造上の違い

 一眼レフカメラの「レフ」とは“レフレックス”を略したものだ。レフレックスとは反射の意味で、レンズから入ってきた光を鏡(ミラー)で反射させ、光学的にファインダーに結像するのが“一眼レフ”だ。撮影時にはこの鏡が持ち上げられ、光が撮像素子に当たる。ちなみに、かつての銀塩カメラでは撮影用のテイクレンズと、構図などを確認するためのビューレンズ(ファインダー)を別個に用意する二眼レフという方式もあった。

一眼レフカメラの例。レンズマウントと撮像素子の間にミラーがある。

 ミラーレスとはこの「ミラー」をなくした一眼カメラのこと。レンズを通して入ってきた光はそのまま撮像素子に結像し、構図はそこから読みだした映像を表示している背面の液晶ディスプレーやEVF(電子ビューファインダー)で決める。つまりミラーがないのでミラーレスと呼ばれている。

ミラーレス機は、写真のようにマウントと撮像素子の間にミラーがない

 ここでちょっと疑問に思うのは、なぜ一眼レフは「レフ」でミラーレスは「ミラー」という用語を使うのか。これは一般的な呼称が定まらないうちに、なんとなくみんながそう呼んでいるので一般化してしまったのである。

 ちなみに日本のカメラメーカーで構成されている業界団体CIPA(一般社団法人カメラ映像機器工業会)では統計区分する場合の呼称を“ノンレフレックス”にすると、2012年の展示会CP+で発表した。しかし時すでに遅しで、ミラーレスという言葉はすでに一般的な名称になっていた。結果、今に至るというわけだ。ただ厳密に言うと、「ノンフレックス」のカテゴリーにはレンズ交換可能ができない普通のコンデジも含まれているのでそこは要注意だ。

 つまり、内部に反射ミラーを備えてレンズから入ってきた光を光学的にファインダーに結像して撮影範囲(構図)を確認するのが“一眼レフ”で、レンズから入ってきた光はいったん撮像素子に結像させ、そこから呼び出した信号を液晶などの表示デバイスで確認するのが“ミラーレスカメラ”ということになる。

 なお、一眼レフの場合には基本的にレンズの絞りが開放になっている状態で結像している。ボケ具合(=被写界深度)がどれくらいになるのかは、絞り込み操作を行わないといけない。ミラーレス機もAF動作を高速にするため、できるだけ光を取り込みたいので、レンズの絞りは開放状態がデフォルトだ。やはり絞り込み操作が必要になるが、一部のミラーレス機では設定した絞りまでしっかりと絞り込んだ状態になる機種もある。

 絞り優先オートやマニュアル撮影で、絞りの効果を発揮したい場合には便利だ。同一メーカーでも機種によっては違いがある可能性があるので、気になる場合は販売店の店頭やデモ機等で絞り優先オートに設定して、絞り操作してみるといい。効果の確認ができる機種があるのが分かる。

ミラーレスであることのメリットは?

 それではミラーレスと一眼レフ、選ぶならどちらがいいのか?

 これはもう目的によって異なるというしかない。

 古い歴史を持つ一眼レフでは、豊富な交換レンズやアクセサリーが用意されている。つまりシステムの充実度がかなり高い点が利点だろう。また、プロ用と銘打っている機種はやはり一眼レフのほうが多く、実際にプロカメラマンの使用頻度も一眼レフのほうが高い。新機種の登場で状況が変わっていく可能性はあるが、防水防塵性能の高さや、仕事で使う上での安心感、汎用性は今の段階では確実に一眼レフのほうが上だ。

 プロではないにしても趣味で撮影する場合でも、AF速度やシャッタータイムラグ、操作の反応速度等もやはり一眼レフのほうが使いやすい場合がまだ多い。

 逆にミラーレス機の利点は、圧倒的な小ささにある。

 例えば、35mm判フルサイズセンサーを採用する一眼レフでは最小サイズの「キヤノン6D」でも、幅はおよそ144.5mm、高さはおよそ110.5mm、奥行きはおよそ71.2mmだ。重量は約755gある。一方35mm判フルサイズセンサーを採用するミラーレス機の「ソニーα7RII」は幅およそ126.9mm、高さおよそ95.7mm、奥行きおよそ60.3mm、重量は約625gとひと回り小さい。

EOS 80D

α7RII

 ミラーレス機のほうが内部の反射ミラーを持たない分、厚みを格段に薄く作ることが可能なのだ。ちなみに発売時期の違いもあり、画素数はEOS 6Dが約2020万画素、α7RIIが約4240万画素ある。センサーサイズが同じでも倍以上の画素数を持っている。

 同様にAPS-Cサイズの撮像素子を採用する同メーカーの機種でも、キヤノンのミドルレンジ一眼レフ「EOS 80D」は約139(W)×78.5(D)×105.2(H)mm、約730g。エントリークラスの一眼レフ「EOS Kiss X80」は約129(W)×77.6(D)×101.3(H)mm、約485gだ。しかし、80Dとほぼ同じ仕様の撮像素子を採用しているミラーレス機「EOS M5」は約115.6(W)×60.6(D)×89.2(H)mm、約427gとなっている。一世代前のミドルレンジミラーレス機「EOS-M3」では約110.9(W)×44.4(D)×68.0(H)mm、約366g。EVFがないぶん高さが低く、グリップ部が小さいので厚みも薄い。

左がα7R、右がα7RIIの撮像素子

 このように一眼レフと同等の性能のセンサーを採用していてもボディサイズを大幅に小さく、軽くできるのがミラーレス機の最大の利点だ。

 なおミラーレス機のシステムはまだ発展途上でもある。例えば、交換レンズのラインナップが少ないという欠点もあるのだが、ニコン、キヤノン、ソニーといった一眼レフもラインナップされているメーカーの場合には一眼レフ用の交換レンズをミラーレス機でも利用可能になるアダプターが用意されている。利用可能なレンズの数という意味では格段に多くなる。ただし、機能を十分に発揮できるわけではなく、ミラーレス最大の利点である小型/軽量さが損なわれてしまうのが難点だ。

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