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もしもツンデレ女子高生がBDを使うことになったら ― 第3回

デジタル→アナログ 変換の基礎

「か、解像度って何?」 ツンデレ少女奮闘中!

2012年08月28日 11時00分更新

文● 藤春都 イラスト●布袋あずき

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登場人物紹介

田中葵

頭脳明晰、才色兼備の優等生。クラス委員を務める。同級生の赤司を一方的にライバル視している。がんばり屋だが、意地っ張りな性格。実は機械がニガテ。


赤司

葵の同級生で、成績は学年1位。女子生徒に人気がある。口調は丁寧で紳士的だが、少々世間とズレている面も。デジタル全般に強い。葵と同じくクラス委員。前回、写真と動画をBD化して葵を助けてくれたのだが、その真意は――?

文化祭後、夜の生徒会室

「私の弱味を握る、ですって?」

 文化祭のさなか、奴はあろうことか私にそう言ってのけた。

 奴こと赤司とは眉目秀麗、成績学年一位のクラス委員長様で、でも性格は最悪な男。そんな奴に、私は機械操作がとても苦手なのを知られてしまったのだ。

「えーと、説明書が確かここに……」

 文化祭のお祭り騒ぎは昼のうちに終わり、今は運動場で後夜祭が行われている。うちの学校ではキャンプファイヤーが毎年の恒例行事で、今も窓の外から賑やかな声が聞こえてきている。

 でも私はひとり薄暗い生徒会準備室に籠もっている。

 数日前に生徒会長に仕事を頼まれた、パソコンやスキャナがある部屋だ。そこで私はビデオテープや写真の『取り込み』をやるはずだったんだけど、体調不良で赤司に仕事を代わってもらう羽目になった。

 私が苦手分野を知られてしまったのもそのとき。

「あ、ここが電源ボタンね」

 赤司はきっと私の弱点を盾にねちねちいじめてくるだろう。それを逃れる方法は、私が弱点を克服してしまうことしかない。

 あいつに気づかれないよう機械の勉強をしておいて、いざあいつが脅してきたら余裕綽々でやってみせればいいのだ。そうすればあいつの思惑は大ハズレ、イケメン様の株は急降下。

「ふふふ、完璧なプランだわ!」

「ひいい、なんか光った!?」
「そりゃ電源入れたらランプが点くでしょうよ」
「あれ、ケーブル繋げろって書いてある」
「それは電源を入れる前にやるものです」

 ……ん?

「あ、赤司!?」

 背後からの声に、私は慌てて振り返った。

「なんでここにいるのよ!」
「さっきからずっといましたが。……いやあ、面白そうなプランですね」

 ってことはこいつ、さっきの私のモノローグを全部聞いてたわね!?

 最悪なんてもんじゃないわ、よりにもよって当の本人にいきなり知られるなんて。どうにかここはごまかして……

「ところで、その機械の使い方なら僕が教えて差し上げましょうか?」
「……は?」

 赤司の言葉に私は絶句した。こいつに一矢報いるためにマニュアルを開いていたのに、当の本人に教えてもらうってどう考えても矛盾してるでしょう。

「結構よ!」
「でもあなたひとりじゃ何もできないのは、先日証明ずみでしょうに」
「でも、あんたなんかに……っ」

 ぎりぎりと歯を食いしばる私に、赤司はふっと鼻で笑って、

「本来、勉強とは自分を高めるためにすることです。あなたは他人を打ち負かすためでなければ何も学ぼうとは思わないのですか」

 いけしゃあしゃあと正論を言われると腹が立つ。それに、裏にもうひとつ別の意味が隠れているように聞こえた。

 ──だからお前はいつまで経っても二位、赤司には勝てないのだ、と。

「わ、わかったわよ……それならやってみればいいじゃない!!」

 いいこと私、これは面従腹背なのよ。奴のスキルを盗み、下克上を狙うのよ……!

 必死で自分にそう言い聞かせる私の前で、赤司は満足そうに微笑んで、

「では、夜の授業といきましょうか」

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