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最短時間で採用サイト完成 ITから遠い中小企業の雇用課題をAIでサポートする「SHIRAHA」

国内初ハローワークとのAPI連携で採用ホームページが求人番号だけで完成

連載
このスタートアップに聞きたい

 株式会社HAB&Co.は、2017年8月設立のHR Techスタートアップ。大分県を拠点に、AI技術を活用した採用サイトの作成サービス「SHIRAHA」を全国の中小企業向けに展開している。7月にはハローワークのAPIと連携した新サービス「SHIRAHA WORK」を開始。ハローワークではかねてよりAPIを公開していたが、実際に民間のネットサービスに活用されるのは国内初だ。株式会社HAB&Co.代表取締役の森 祐太氏に、地方の中小企業が抱える採用の課題、ハローワークのAPI連携の目的と今後の展望を伺った。

中小企業の採用サイト制作をAIが支援

 人手不足は全国的な課題だが、地方は首都圏に比べて若い世代が少なく、採用状況はより深刻だ。中小企業は、社内にIT人材やデザイナーが社内にいないため、自社ホームページの整備も不十分で、採用ページを設けている会社は少ない。一方で、若者が職を探すときに、まず利用するのはウェブ検索だ。しかし、企業側が採用サイトを設けていないために、人材とのマッチングの機会が失なわれている。

 森氏の前職は株式会社リクルート・スタッフィングで人材営業に携わっていたが、実家の大分にUターンしたのを機に独立。複数のウェブサービスの立ち上げやコンサル業務を通じて地元の企業や自治体との関わるなかで、採用課題を知ったのが、SHIRAHAを開発したきっかけだ。

 「SHIRAHA」は、AIを活用し、低コストで簡単に採用サイトが作れるサービスだ。企業が自社サイトを外注すると制作費用に数十万円かかるのが相場。コストを下げるため、ホームページ作成サービスなどを利用して自力でつくるとしても、文章や画像素材は用意しなくてはならず、手間がかかってしまう。

 そこで「SHIRAHA」は、AIが会社の募集している人材に合わせて、適切な文章や画像を提案してくれる特徴を持つ。ITに不慣れな人や文章を書くのが苦手な人でも5分で本格的求人サイトができあがる。また、Googleしごと検索とIndeedなどウェブ上での基本的な求人検索エンジンにも対応している。

 サービスはSaaS型で、求人上限数6名までのスタンダードプランは月額9800円、求人数無制限のプロプランは月額2万4800円で提供。

株式会社HAB&Co.代表取締役 森 祐太氏

ハローワークの求人票から
動的な採用アピールにつながるAPI連携を実現

 7月からは、ハローワークのAPIと連携するサービス「SHIRAHA WORK」を新たにスタートした。

 中小企業は大手の求人メディアに広告を出す予算はなく、採用はハローワーク頼みだ。過去1年間で中小企業の53%、およそ222万社がハローワークを利用しているという。しかし、ハローワークはまだデジタル化が進んでおらず、求人や求職は基本的に窓口へ往訪して手続きしなくてはならない。求人票はいまだに紙ベースで、条件による絞り込みや比較検討がしづらく、ミスマッチが起こりやすい原因となっている。

「ハローワークの求人票は静的なもの。これに動的な情報、例えば、会社の製品写真や先輩のメッセージ動画を企業側が独自に作成し、それをハローワークの求人票とつなぐことができたら、採用の課題が解決できるのでは、と考えました」(森氏)

 この1年間、厚生労働省や自治体の労働局に働きかけ、ようやくAPI連携が実現したのが「SHIRAHA WORK」だ。ハローワークの求人番号をSHIRAHAのシステムに入力すると、登録された求人データを用いて採用サイトをスピーディーに作成できる。企業情報や求人条件などを入力する手間が省けるうえ、自社サイトのコンテンツやSNSとの連携もしやすくなる。

 まだサービスは始まったばかりだが、ターゲットは、年間200万超のハローワークを利用する事業者だ。 「全国のハローワークでは毎日、数十万件の求人情報がアップデートされています。ハローワークが長年培ってきた仕組みや膨大なデータを活かしながら、うまく連携して企業や求職者に喜ばれるサービスに発展させていきたいです」

 求人募集のSaaSはあくまでスタートライン、と森氏。今後は、人材エンゲージメントを高めるための支援、研修やオンボーディングなど、オフラインを含めた包括的なHRサービスを拡充していく計画だ。

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