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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第532回

大幅に価格を下げたCascade Lake インテル CPUロードマップ

2019年10月14日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII

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半額にまで価格を下げた
Cascade Lake

 ジサトライッペイ氏の記事にもあるように、Core XシリーズとXeon Wシリーズが米国時間の10月7日に発表になった

Core Xシリーズ

 厳密にいえば、その前にCore Xシリーズはこっそり公開されており、それが正式発表されたのが10月7日という感じだが、このあたりはどうでも良い。

 その新しいCore XシリーズとXeon Wシリーズ、どちらもCascade Lakeをベースとした製品となっている。ちなみに発表記事にもあるように、現時点でも新しいXeon W-2200シリーズのパッケージがLGA 2066かどうかは明らかにされていない。

 この新しいCascade Lakeは、基本的には若干の動作周波数向上と、大幅な価格性能比の向上が売りである。

 価格性能比というのは要するに猛烈な値下げであり、AMDのRyzenやRyzen ThreadRipperと同程度の価格帯まで価格を下げるという話である。

 Core XシリーズはハイエンドのCore i9-10980XEで979ドル、ローエンドのCore i9-10900Xで590ドルまで価格を下げており、Core i9-9900Kの488~499ドルから見ると価格の断絶がほとんどなくなっている。

 この590ドルというのはAMDのRyzen 9 3900Xを強く意識した価格と思われ、そういう意味では確かに競争力は増したといえば増したのかもしれない。

 ただ問題は、依然として14nm++プロセスで製造されていることで、この結果としてTDPは165Wになっており、TDP 105WのRyzen 9 3900Xとは結構大きな差が依然として存在している。

 以前インテルは(特にAMD FXシリーズとの対比で)性能/消費電力比の高さをずいぶんアピールしていたが、攻守が入れ替わった格好になっているのはどうしたものか。

 この熱の問題、むしろ大問題なのはXeon W-2200シリーズである。下表はCascade LakeベースのW-2200シリーズと、SkyLake-SPベースのW-2100シリーズの動作周波数とTDP、TCASE(最大ケース温度)をまとめたものだ。

W-2200シリーズとW-2100シリーズの性能
プロセッサーナンバー 動作周波数(GHz) TDP(W) TCASE(℃)
Base Max Turbo Turbo Boost
Max 3.0
Cascade Lakeベース
W-2295 3.0 4.6 4.8 165 61
W-2275 3.3 4.6 4.8 165 62
W-2265 3.5 4.6 4.8 165 61
W-2255 3.7 4.5 4.7 165 62
W-2245 3.9 4.5 4.7 155 59
W-2235 3.8 4.6   130 64
W-2225 4.1 4.6   105 61
W-2223 3.6 3.9   120 64
SkyLake-SPベース
W-2195 2.3 4.3   140 66
W-2175 2.5 4.3   140  
W-2155 3.3 4.5   140 68
W-2145 3.7 4.5   140 70
W-2135 3.7 4.5   140 64
W-2133 3.6 3.9   140 65
W-2125 4.0 4.5   120 64
W-2123 3.6 3.9   120 65

 動作周波数に応じてTDPが上がるのは仕方がないとして、まずいのはTCASEである。W-2100シリーズが64~70度程度なのに対し、W-2200シリーズでは59~64度と、5度ほどTCASEが下がっているのがわかる。

 特に8コア/16スレッドのW-2245とW-2145を比較すると、TDPこそ140W→155Wと微増だが、TCASEは70度→59度と11度も下がっていたりして、かなりダイに厳しい環境であることがわかる。

 こうなると、安定駆動の際には少し冷却能力の高いクーラーを使うなり、ケース全体の冷却能力を引き上げるといった工夫が必要になってくる。さすがに14nm++で引っ張るのはそろそろ難しいと感じさせる結果になった。

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