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フェイスブックがロボット工学研究所を開設、その狙いは?

2019年05月23日 14時00分更新

文● Will Knight

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高度な知性を持つヘルパーの開発を目指すフェイスブックの取り組みは、人工知能(AI)が物理世界のある種の基礎知識をいかに必要としているかを示すものだ。

フェイスブックは、シリコンバレー本社に開設した新しいロボット工学研究所とともに、さまざまな作業を実行する方法を学ぶロボットなどの複数の研究プロジェクトを披露した「ポータブル」(フェイスブックのスマート・ディスプレイ製品)に手脚をつけ、人々の家を探索させようと目論んでいるのだろうか?

幸いなことに、答えはノーだ。実際にはフェイスブックの研究計画は、既存のAI研究をごく自然に拡張したものだ。機械学習は、プログラミングが不可能な作業をロボットに学習させるために利用できる。そうしたプロジェクトはいずれ、実用的なアプリケーションにつながるかもしれない。しかしそれ以上に重要なことは、ロボットが世界について学ぶ方法が、他の場所に適用されるアルゴリズムにフィードバックできることだ。

フェイスブックのロボット工学研究チームもまた、同社の他のAI研究と同様に、人間による監督を最小化して学習するアルゴリズムの開発に焦点を当てている。その取り組みの興味深い一面が、ロボットが明確な最終目標の達成なしに学習することを可能とする、一種の「機械好奇心アルゴリズム(machine curiosity algorithm)」である。

これは、フェイスブックが進めているいくつかのバーチャル・ヘルパーの開発を考えるとき、非常に重要になってくる。まともにおしゃべりができるアプリケーションを作るためには、単に会話文だけでAIアルゴリズムを訓練するのでは不十分だ。専門家が指摘するように、私たちが当然持っている物理世界の理解を欠いているため、完全なものにはなり得ないのだ。

「私たちが知っている唯一の『知性』の例は、人間か動物です」とフェイスブックのAI研究者、ロベルト・カランドラ博士は話す。「人間や動物が持っているような知性を再現したければ、身体性が必要なのは当然だと思います」。

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