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松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析 第42回

裁判でビジネスにケチがついた:

アップルApp Storeビジネスに暗雲か

2019年05月21日 09時00分更新

文● 松村太郎 @taromatsumura

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 2週続けてApp Storeの話題です。先週はApple Watch向けApp Storeの登場が、あるいはApple Watchの独り立ちを意味するのではないかという見立てについて触れましたが、今度は本家iPhoneのApp Storeに立ちこめる暗雲についてです。

 米国最高裁判所は先週、アップルを相手取って起こされた「アップルが独占的な立場でアプリ価格を高くしている」とする集団訴訟が「審理可能」であるとして裁判として継続することを決定しました。ちょっと不思議な決定と思われるかも知れませんが、理由はアップルが裁判の審理継続に対して異を唱えていたからです。

 アップルは、アプリの価格決定権が自分たちにないと主張し、過去の判例である「商品やサービスを間接的に購入する人々は、企業を訴えられない」を根拠に裁判の棄却を求めていました。しかしBrett Kavanaugh判事は、アップルの理論が消費者の反トラスト主張を回避し、実質的な適用を阻止しつつ、独占的小売業者がメーカーやサプライヤーとの取引を構造化するロードマップになるとの意見書を提出しました。

 こうして、App Storeの反トラスト法の裁判は継続することになりました。もちろん裁判や判決はこれからで、App Storeに対してすぐに変更を加える必要はありません。ただし、アップルの次なる収益の柱ともいえるApp Storeビジネスにケチがついたこと、そして連日に及ぶ米中貿易戦争激化の報道から、せっかく200ドルを回復したアップルの株価は再び180ドル台へと沈んでいます(原稿執筆時)。

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