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「AI大国」中国で軍事利用も拡大、米有力シンクタンクが指摘

2019年02月11日 17時27分更新

文● Will Knight

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米国と中国は「人工知能(AI)軍拡競争」をしているとよくいわれる。深層学習やその他のAIテクノロジーの開発と商業化に関して、互いに追いつけ追い越せと競い合っているのだ。

ある新しい報告書によると、さらなる文字通りの「AI軍拡競争」も進行中のようだ。

『Understanding China’s AI Strategy(中国のAI戦略を理解する)』というタイトルのこの報告書は、影響力を持つシンクタンクの新米国安全保障センター(Center for a New American Security)が発表したものだ。異例のアクセスを集めており、さまざまな学会や中国外交部の会議などでも利用されている。

報告書によると、中国はAIおよび自律軍事兵器システムを急速な勢いで増強しているという。中国の指導者は、AIをはじめとする新興テクノロジーを、競合相手の西側諸国に追いつくための手段と見ているのだ。

中国の軍部は、すでに(軍事用途の)AIや自律兵器テクノロジーの一部を輸出しているようだ。「中国の官僚は、ドローンや軍用ロボットが将来極めて広範なAIや自律能力を搭載すると期待しています。中国の複数の軍事兵器製造会社はすでに著しい量の戦闘用自律機能を搭載した武装ドローンを販売しています」。

ペンタゴン(米国防総省)も、もちろん武器・非兵器双方のシステムにおいてAIの活用を急いでいる。だが、困難な問題も浮上している。AIはますます民間での開発が盛んになってきているが、民間企業の人間は往々にして軍事兵器の開発に反対なのだ。一方中国では、軍民の協力関係に対する障壁はほとんどない

報告書は自律兵器の進展の阻止を可能とする、多少の希望的観測も提供している。中国の指導者はAI競争を取り巻く「軍拡競争」といった誇大表現に懸念を示しており、AI兵器の統制に関して国際的な協調姿勢の必要性を認識しているという。この点は、軍事用途でのAIの利用が急速に進み、米中関係が悪化しつつあることを考えると、とりわけ高く評価されるべきだろう。

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