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ペヤング北海道ジンギスカン風は食の記憶に対する挑戦だった

2019年02月09日 12時00分更新

文● 四本淑三

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羊たちはどこからやって来るのか(かやく編)

 夜が明けて試食再開。そもそも、この羊肉の匂いは、なにについているものなのか。どこからやって来たものなのか。麺なのか、ソースなのか、かやくなのか。まず、かやくの乾燥羊肉をかじってみることにした。

 乾燥した羊肉というものをほかに食べたことはないのだが、これはうまい。フリーズドライのようなサクサクした食感を想像していたが、案外しっとりとしたビーフジャーキーのような歯ごたえ。ジンギスカンのタレのような味も付けられていて、ほんのり羊肉の香りもする。

 ただ、香りはほんのりであって、焼きそばになったときのあの強烈なストームを想像できるようなものではない。実際にはこれをふやかして食べるわけだ。そこで次はお湯に浸して戻してみることにした。もしかしたら水溶性の成分が溶け出して、匂いを発するかもしれない。

 残念ながら匂いは変わらなかった。歯ごたえはより肉っぽく、羊っぽくなったが、おつまみとしてなら乾燥状態の方がいい。乾燥玉ねぎもサクサクして甘くておいしいし、これは酒のつまみとして結構いけるのではないか。ぜひ「酒とつまみ」で特集してほしい。

羊たちはどこからやって来るのか(ソース編)

 次はソースを試してみよう。どろっとしたソースで、油と二層になっている。袋から出した状態では、これもほんのり香りがするくらいで、羊っぽさは感じられなかった。

 ソースの部分と、油の部分を別々にしてお湯に混ぜてみると、油の方はなにか成分が揮発するのか、乾燥肉とは違う臭気を感じた。羊ストームの元は、この油にあるのではないか。

 そこでソースの油を直接加熱してみることにした。スプーンに乗せた油をライターで炙ってみたが、絵的にとても危険なものを感じたので、フライパンでやり直した。結果は同じである。

 ジンギスカンの概念形成に寄与しているのは、主にこのソースに含まれる油だろう。乾燥羊肉からも羊の情報は出ているが、焼きそばの内容物として出現頻度が低い。全体の基調を決めるのは、このソースに含まれる油のように思える。

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