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松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析 第28回

トランプの曲げないゴール:

アップルが「米国製iPhone」を出す日は来るか

2019年02月07日 16時00分更新

文● 松村太郎 @taromatsumura

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 トランプ政権は米国第一主義を掲げ、製造業の復興を主なターゲットとしています。世界の製造拠点の役割を一挙に引き受けてきた中国との貿易不均衡に着目し、関税で中国経済を締め上げながら、米国やその他の国の企業に対して米国内での製造の経済合理性を作り出そうとしてきました。

 トランプ大統領は当選前から、分かりやすいゴールとして「世界で最も知られている米国企業の製品であるiPhoneを米国内で製造すること」を掲げてきました。トランプ政権になって2年が過ぎましたが、今のところアップルから、そのゴールに対する答えは出されていません。

 代わりに、トランプ政権は法人減税や、米国外に滞留する資金を環流しやすくする優遇を与えました。アップルの決算書類を見ると税率が25%前後から15%前後に落ちていて、優遇の恩恵にあずかっていることがわかります。

 一方でアップルは米国内でiPhoneを作るという話については答えを出していませんが、米国の製造業を盛り立てて雇用を作り出す活動はアピールしています。

 先端製造業ファンドを作り、光通信製品のフィニサー(Finisar)やガラス製品のコーニング(Corning)といった企業に投資をしたり、二酸化炭素の代わりに酸素を排出する新しいアルミ製造方法に投資をするといった活動です。

 最新の数字では、アップルは2018年に、米国のサプライヤーに対して600億ドルを支出し、これは前年と比較して10%増加したとしています。また45万人の雇用を支えたとも報告しました

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