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フェイスブックがブロックチェーン企業を初買収、高速化が狙いか

2019年02月06日 15時55分更新

文● Mike Orcutt

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あの巨大ソーシャルネットワーク企業は何を企んでいるのだろうか? フェイスブックがブロックチェーン関連企業を初めて買収した。買収したチェーンスペース(Chainspace)は、ブロックチェーンのスマートコントラクトによるトランザクションを高速化する技術を重点的に開発してきた、小規模なスタートアップ企業だ。

チェダー(Cheddar)が最初に報じたニュースによると、9カ月前に結成されたフェイスブックのブロックチェーン・チームは、水面下で進めていた技術開発に本腰を入れ始めている可能性がある。

最近では、人気メッセンジャー・アプリのワッツアップ(WhatsApp)ユーザー向けに、フェイスブックがステーブルコイン(安定通貨)を開発していることが明らかになった。その開発にチェーンスペースの技術が活用できると考えているのだろうか。2017年に発表された学術論文(PDF)には、チェーンスペースはイーサリアムよりも桁違いに速くトランザクションを処理できる「シャーディング(Sharding)」技術を使うスマート・コントラクト・プラットホームだと書かれている。

トランザクションを認証し処理するスピードの遅さが、イーサリアムとスマート・コントラクトの普及を阻む一因となっている。実際、イーサリアムも同じ理由でシャーディングの導入を考えている。

シャーディングがうまく機能すれば、スマート・コントラクトはデータを分割し、小さく分割したデータをノードのサブセットに割り当てて計算させることが可能になる。すべてのノードがすべてのトランザクションを計算する必要があるシステムよりもはるかに速く処理ができるため、システム全体を効率化できる。

フェイスブックがペイパル(PayPal)のような電子決済サービスに対抗するためにブロックチェーンを使うのであれば、多くのトランザクションを同時に処理できる方法を見つけ出す必要があるだろう。あくまでも推測だが、今回の買収は、そうした課題に関連している。

いずれにせよ「シャーディング」について語り始めれば、おのずとブロックチェーンの難解な世界に深入りすることになる。フェイスブックが、この分野にどこまで踏み込んでいくのか注目される。

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