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ニール・アームストロングの息子であるマーク・アームストロングさんにインタビュー

映画『ファースト・マン』で描かれる人類初の月面着陸の裏側とは

2019年02月08日 17時00分更新

文● 八尋/ASCII

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ライアン・ゴズリングから質問攻めに
キャストの演技は素晴らしかった

マーク・アームストロングさんにインタビューを実施

ーー本作が制作される 3年ほど前から携わっていたと聞いていますが、具体的にどのようなアドバイスをされたのでしょうか

マーク・アームストロングさん(以下、マーク):最初は、脚本を担当したショジュ・シンガーとプロデューサー何名かに兄のリックとともに対面し、まずは土台となる関係を築きあげるためにミーティングを繰り返しました。その中で、どういった映画をつくりたいのかという思考を聞いたうえで、史実に基づいたしっかりとした作品をつくるのであれば全面的に協力したいという気持ちがありました。

 それから数か月後に監督が決まり、デイミアン・チャゼル監督とライアン・ゴズリングと何回か食事をしながら話をしました。とくにライアンからすごく質問を受け、回数を重ねるごとに核心をつくような掘り下げた質問をされたのを覚えています。

 もともと素晴らしい演技力をお持ちだということは知っていたので、彼なら父を見事に演じてくれるだろうと確信しました。

ーー実際にライアン・ゴズリングさんの演技を観てどうでしたか?

マーク:もちろん素晴らしかったですが、それは彼だけではないです。すべてのキャストの方々が素晴らしかったですし、とくに母親役のクレア・フォイの熱演を観て、実は鑑賞の数か月前に母親を亡くしたばかりだったので、エモーショナルな気分になりました。

本作では、月面着陸までの家族の絆や不安などもしっかりと描かれている

ーー地球を出発し、月面着陸するまでのシーンはとても興奮しましたが、本作はそれだけではなく家族でのシーンもとても印象的でした。そんな家族でのシーンで、マークさんがとくに印象に残ったシーンはありますか?

マーク:鑑賞した皆さんも印象に残ったと言ってくれるのですが、出発前に家族でダイニングに集まって、挑戦へのリスクを我々兄弟に伝えるシーンがあるのですが、これは本来台本にはなく、自分と兄が提案して採用されたシーンなんです。これは実際にあったことなので、このシーンの採用は映画への最大の貢献かなと思っています。

 あとは、本作でも描かれていましたが、ヒューストンの夏はとても熱いので、庭にあったプールに飛び込んだり、水遊びをよくしていました。また、父はトレーニングなどで不在なことが多かったので、たまの休みには我々息子とふざけて一緒にあそんでくれたので、抱きかかえて冷蔵庫に頭を入れて冷やす場面などは、心に残ったシーンの1つです。

ダイニングに呼び出されたとき、最初は怒られると思っていた

マークさんは、月面着陸前後の家庭は実際にどうだったかを語ってくれた

ダイニングのシーンは、実際に起こったことをそのまま採用されたとのことですが、当時のそのときの心境はどんな感じだったのでしょうか

マーク:我が家のダイニングというのは、大切な話があるときでないと使用されない部屋だったんです。だから、ダイニングに集まりなさいと呼ばれたときは、私か兄が悪さをして怒られるんだと思っていました。

 父親から話を聞いたときは、正直まったく心配していなかった覚えがあります。普通に安全に帰ってくると信じていました。ただ、気付かれないようにしていたと思いますが、母親の心中は穏やかではなかったのかなと思いますね。

ーー世界中の誰もが知っている偉業を成し遂げた父親を持つマークさんですが、その偉業を肌で感じた瞬間はありますか?

マーク:肌で感じた瞬間ですか。歳を重ねるうちに父親は偉大なことを成し遂げたのだなと実感するようにはなりましたね。ただ、強調しておきたいのは、父親はさまざまなタイミングが重なってアポロ11号の搭乗員に選ばれただけであって、近所にはNASAの技術スタッフや管制塔で働いている人たちも住んでいました。あの月面到着は何百人、何千人という人たちが最善をつくした結果なので、父親だけが突出した存在とは認識していなかったですね。

マークさんは、父親であるニール・アームストロングだけでなく、携わったすべての人がいたからこそ成功したんだと語った

 偉業を成し遂げたからといって、地位や名声に翻弄されないように、控えめで謙虚でいなさいということを親から教わっていたので、浮かれるようなことはなかったですね。

ーーすごいですね。私なら思いっきり浮かれそうです

マーク:それでは我が家では疎ましがられますよ(笑)

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