このページの本文へ

3年連続の2ケタ成長を記録、「SAS Viya」を核にオープンなアナリティクス基盤構築も訴え

SAS、2019年も「各産業のDXに貢献する」事業方針を維持

2019年02月06日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 SAS Institute Japanは2019年2月5日、2019年度(2019年1~12月期)のビジネス戦略に関する記者説明会を開催した。

 日本法人社長の堀田徹哉氏は、3年連続の2ケタ成長で過去最高益を記録した2018年度に引き続き、「各産業におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)に貢献していく」と方針を説明。企業のDX基盤として、「SAS Viya」を核に据え、より多くのユーザーがアナリティクスを活用できる“Enterprise Open Analytics Platform”の構築を提案していきたいと述べた。

SAS Institute Japan代表取締役社長 兼 SAS Institute Inc.日本・韓国地域統括バイスプレジデントの堀田徹哉氏

 堀田氏はまず2018年度における日本法人のソフトウェア売上とサービスの業績について、DXの流れがあらゆる産業分野に拡大したことを背景として「非常に好調だった」と語った。売上高は3年連続の2ケタ成長で過去最高益を更新している。

 中でも一昨年(2017年)に投入したSAS Viyaは、一昨年比で700%以上の成長(売上高8倍超)を見せ、新たな主力製品となっている。現在、新規顧客の導入案件はほぼすべてでViyaが選択されており、既存顧客においても製品更新やマイグレーションのタイミングでViyaへの乗り換えが進んでいるという。

 また堀田氏は、あらゆる業界でDXを目指す動きが強まる中で、これまで40年以上にわたって「データをインサイトに変えて、そこから価値を引き出すことに絶えずフォーカスしてきた」SASの強みが発揮されるようになってきたと述べる。金融やライフサイエンス/製薬、製造、流通、通信、サービスなどの業界で、業界ごとの課題(規制対応、業務効率化など)に対応しつつDXに貢献してきたことを説明した。

2018年度は金融、ライフサイエンス、製造など各業界におけるDXを支援してきた

 2019年度もこれまでの「顧客のDXに貢献する」方向性を維持、拡大していく方針で、「特に大きな戦略転換は必要ないと思っている」と語る。戦略の柱として「コアビジネス領域の成長」「カスタマーリレーションの強化」「将来への準備と社会への貢献」という3つを挙げた。

2019年度のビジネス戦略。基本的にはこれまでの方向性を維持、拡大していくものとなる

 コアビジネス領域の成長に向けては、引き続き「インダストリーDXのさらなる展開」と「Viyaビジネスの推進」を図る。たとえば金融業界においては、マネーロンダリング防止対策(AML)市場での高いシェアをさらに強化していくほか、FinTechやRegTech(テクノロジーによる規制/コンプライアンス対応の効率化)といった顧客DXを支援していく。

 またViyaビジネスにおける注力点のひとつとして、製造業のR&DなどでAI/機械学習活用により実現している「物理モデルと統計モデルの融合」による新たな価値創出にも貢献し、アナリティクスによるイノベーションを起こしていきたいと述べた。

 「昨年度(2018年度)は、製造業のR&D領域に統計としてのアナリティクスが提供される動きが見られた。たとえば、新しい素材開発における原材料や製造過程と最終素材の物性の因果関係を読み解く(マテリアルズインフォマティクス)、あるいは“タイヤのスリップ”などの物理現象を、工学的見地と共に『統計的見地から』予測していくといったことだ」

「コアビジネス領域の成長」業界別DXのさらなる展開、Viyaビジネスの推進と、従来路線をさらに拡張していく方針

 もうひとつ、Viyaを核とした「Enterprise Open Analytics Platform(EOAP)の推進」も挙げている。

 これは、多様な言語(旧来のSAS言語だけでなくPython、Rなども含む)を使ってより幅広いユーザーがモデルをコーディングできる「オープンさ」、同一基盤上でPOCから本番システムまでカバーし、モデルの管理やデプロイ、実行など一連の機能を備える「アナリティクスライフサイクル」、AI/アナリティクスの“説明責任”を果たせる「ガバナンス」というViyaの特徴を生かして、企業のDX推進を強く支援する社内共通のアナリティクスプラットフォームを構築するというコンセプトだ。

企業がDXを推進していくためのアナリティクス基盤「Enterprise Open Analytics Platform」を提供していく

 続く「カスタマーリレーションの強化」では、SASのプロダクトセールスとコンサルティングサービスの間の連携を強化して「顧客の成功」に対する意識を合わせること、パートナーエコシステムの拡大、中堅中小企業向けのSaaS/MASP(マネージドアナリティクスサービスプロバイダー)サービス展開、さらに個々の顧客にカスタマイズしたサービスメニュー提供などを図るとした。

 最後の「将来への準備と社会への貢献」では、同志社大学、筑波大学などでの提供講座やスキル認定制度、ユーザー企業のデータサイエンティストを招いた学生向けのキャリア紹介セミナー、「夏休み親子でデータサイエンス」など、未来のデータサイエンティスト人材を育成する取り組みを引き続き行う。同時に、社会課題解決のためにアナリティクスを活用する「Data for Good」の取り組みとして、すでに医療画像診断研究(東北大学)や循環器疾病予防研究(自治医科大学)などの支援を行っていることも紹介した。

■関連サイト

カテゴリートップへ