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国立天文台、アマ向け望遠鏡で太陽系最果ての微小天体を発見

2019年01月30日 11時28分更新

文● Erin Winick

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アマチュア向け天体望遠鏡を使って成した発見により、惑星の進化の過程についての解明が進む可能性が出てきた。

宇宙で何かを発見をするためには、高価な機器など必要ない。日本の国立天文台の研究者チームは、建物の屋上に置かれた、たった2台の口径28センチメートルの望遠鏡を使って、半径1〜10キロメートルのカイパーベルト天体を初めて発見した。同チームが発見した天体の直径は、わずか2.6 キロメートルである。この発見が大騒ぎするほど特別なことなのかと奇妙に思う向きもあるかもしれない。だが、この種の天体は、惑星がどのように作られたかについての重要な手がかりを提供してくれるのである。

カイパーベルトは、海王星の軌道のはるか外側に存在する領域で、太陽系が形成された時に残った物と思われるさまざまな物質が多く混在している。カイバーベルトに存在するもっとも有名な天体といえば、おそらく冥王星であろう。

国立天文台の研究者チームが発見したサイズの天体は、あまり明るくない。そのため、高性能な望遠鏡を使っても、それらを見つけるのは非常に困難である。 同チームは、そういった天体を直接見るのではなく、多数の星の前を通過する物体を監視する、掩蔽(えんぺい)という手法を用いて発見した。天体が星の前を通過するとき、星が放つ光の一部が遮られる現象を利用するのである。 今回の天体を見つけるため、研究チームは2台のアマチュア向け望遠鏡を使って、60時間にわたって2000個の星を観測した。

科学者たちは、この大きさの天体が存在することを予想していた。だが、今回その存在が確認されたことで、小さな惑星の成長はキロメートルサイズの天体から始まったとする予測モデルが裏付けられることとなった。発見の概要は『ネイチャー・アストロノミー(Nature Astronomy)』に掲載されている。

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