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欧州宇宙機関、月面での資源採掘を目指すプロジェクトを始動

2019年01月25日 07時53分更新

文● Erin Winick

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不毛の地のように見える月の隠された資源に、多くの宇宙機関が注目している。

欧州宇宙機関(ESA)は今週、2025年の月探査ミッションを目指して、フランスの航空宇宙関連企業アリアングループ(ArianeGroup)との新たなプロジェクトを発表した。アリアングループはロケット打ち上げ企業、アリアンスペース(Arianespace)の親会社である。プロジェクトの目標は月面を採掘して天然資源を探し出すことだ。さらに、かつてグーグル・ルナ・エックス・プライズ(GLXP:Google Lunar X Prize)の月面探査コンテストに参加した、ドイツのPTサイエンティスツ(Part-Time Scientists)も巻き込み、着陸船を準備する予定だ。

ESAは酸素と水の両方を含有するレゴリス(月面土壌)に注目している。酸素や水を土壌から抽出できれば、宇宙で燃料や生命維持システムを作り出すのに利用できる。中国やインドなどの国も、月からヘリウム3を取り出せるかどうかを調査している。 ヘリウム3は地球上ではほとんど手に入らないが、月には豊富に存在しており、安全性の高い原子力燃料として宇宙船の動力に利用できるはずだ。

ESAにとって、先はまだまだ長い。プロジェクトはその長い道のりの第一歩なのだ。手始めの契約は1年間で、その後、ミッション成功の可能性を判断することになっている。月面で資源を採掘および貯蔵する方法や開発すべきテクノロジーを調査するのだ。2025年のミッションが極めて有望とお墨付きを得られれば、研究成果をもとにミッションの資金を調達する。

従来よりも長期間にわたる宇宙での有人ミッションを計画するため、ますます多くの宇宙機関が宇宙における資源採掘に着目するようになっている。ロケットの打ち上げ後に燃料と酸素を入手できれば発射時の積載物を減らすことができ、宇宙滞在期間を長くできる。今年はこれまでより多くの国と、かつてGLXPのコンテストを競った各社が月面着陸を計画しており、月面採掘への関心が再び話題の中心になるだろう。

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