東芝の名前に違和感があった
北米市場においては、2020年までに年平均成長率131%増という意欲的な目標を掲げ、欧州市場でも93%増という高い成長率を打ち出す。これによって、現在22%の海外売上げ比率を42%にまで高める考えだ。
「ここ数年の構造改革の影響で、海外ビジネスのダウンサイジングが続いてきた。だが、商品の充実、シャープグループとの連携、リソースの再投入によって、欧米市場におけるビジネスの再強化、アジア市場での展開を進める。アジアでは、主要国におけるシャープの基盤を生かす。北米や欧州では、複合機やPOSなどを扱うシャープのビジネスソリューション部門とも融合して、PCの販売を伸ばしたい」という。
なんといっても注目されるのが、Dynabook株式会社という社名への変更だ。
石田会長は「シャープが80.1%の株式を取得している状況において、事業の継続や上場を目指す上で、東芝という名前を残すことには違和感がある。また、独立性を高めるということも考慮した」とし、社名に東芝もシャープも使わなかった理由を説明。「東芝のノートPCの歴史をたどり、議論をした結果、Dynabookという言葉を前面に出したいと考えた」と、社名決定の理由を示してみせた。
dynabookのブランドは、パーソナルコンピュータの父と呼ばれるアラン・ケイ氏が、1970年代に提唱した「人に寄り添い、人を支える、真のパーソナルなコンピューター」というビジョンにちなんで、東芝が1989年に発売した世界初のノートパソコンにつけたのが最初だ。
その後dynabookは、約30年間に渡って進化。世界初のVGAカラー液晶搭載モデルや世界最薄/最軽量モデルなどを投入してきた。
だが石田会長は「dynabookは、ハードウェアに対する期待を込めた言葉であった。しかし、時代とともに環境が変化し、技術が進化し、dynabookという言葉に込められた意味や言葉自体も進化させる必要があると考えた。それは、アラン・ケイ氏も望んでいるのではないか」と語る。
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