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Netflixは5Gを必ずしも必要としていない

「4G LTEでの環境に注力している」その理由に迫る

特集
石川温の「動き出している5Gビジネス」

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Netflixが5Gに興味がない理由

 それは、Netflixは動画圧縮技術の開発に積極的に関わっており、5Gの高速大容量なネットワークを使わなくても、高画質な映像を配信できる自負があるからだ。

 特にここ最近の技術的な進展はめざましく、たとえば4GBのデータで、2015年には7時間しか視聴できなかったが、2015年には10時間、2018年には26時間という視聴時間を実現している。

 Netflixのビデオアルゴリズムディレクターのアン・アーロン氏によれば「まもなく登場するAV1という規格であれば、同じ4GBで33時間まで視聴できるようになる」と語る。

 AV1はVP9というコーデックと比べても20%以上、圧縮率を上げることができるという。

 実際に、AV1でストリーミングしているスマホ向けの動画を視聴させてもらったが、特にノイズなどは感じず、映画やドラマを視聴するうえでまったく違和感のない画像となっていた。ちなみに、この時の帯域幅は200kbps程度であった。つまり、将来的には格安スマホなどで提供されている、データ容量を消費しない制限通信速度で、快適に動画を視聴できるようになってしまうというわけだ。

 このAV1というビデオコーデック規格は、Netflixだけでなく、GoogleやAppleも開発を手がける「Alliance for Open Media(AOM)」が行なっている。つまり、将来的にはiPhoneで、YouTubeやNetflixを視聴する際に、このAV1というコーデックで動画が流れてくる可能性があるというわけだ。

 Netflixが「4Gの環境でも充分」と考えているのは、こうした新しい技術で、動画をさらに圧縮し、流れるデータ量を抑えることに目処が立っているからなのだ。

 もちろん、今後、スマホで動画を視聴するユーザーはさらに増えるだろうし、1人あたりの視聴時間も長時間化することは間違いない。そのために5Gへの進化は必要なのだが、実際に流れるデータは、今とは異なり、データ自体も進化し、同じ中身でも容量が小さくなっていくトレンドがある、ということを覚えておくといいだろう。

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