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スペシャルトーク@プログラミング+第24回

電動スクーターE-Vinoを獲りに行け!

クルマは巨大なIoTだ! SDLハッカソンレポート

2018年12月19日 09時00分更新

文● 角川アスキー総合研究所

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車載開発キットでクルマとスマホが繋がった!

 12月8日(土)、9日(日)、大阪府東大阪で「SDLアプリコンテストに応募しようぜハッカソン」(主催:一般社団法人MA)が行われました。SDLは、国内では自動車メーカー(二輪を含む)10社が採用するスマートフォンとクルマを繋ぐ国際規格。ひとことでいうと、カーナビなど車載機の画面からスマホアプリを操作できるようになります。

 ハッカソンは、いま応募受付中のアプリコンテスト(〆切2019年1月31日(木))の対策をうたったもの。しかし、ハッカソン参加者とメーカー担当者の自発的なディスカッションも行われるなど、クルマとスマホのこれからが垣間見れるホットな内容となりました。そのレポートをお届けします。

【1日目】ハッカソンの主旨とSDL説明・ハック開始

 なぜSDLハッカソンが大阪で行われることになったのか? 理由の1つが、今回会場としてお借りしたMETEORWORKS Inc.(代表:かみや しんぺい氏)のガレージがハッカソンに最適だったからです。前日の夕方に2日間の進行打ち合わせをしたときにはコンクリートの床が冷えてまくっていましたが、8日は晴れに恵まれました(昼間外を歩くとむしろ暖かいくらい)。

 今回のテーマの1つである車載機の取り付けに必要な工具類はもちろんのこと、Wi-Fiやプロジェクター、今回は使用までいかなかったものの3Dプリンタまで完備。ついでに天井が高くバスケットボール(3x3)のゴールまであるというすばらしさ。

 1日目10:30、12名(募集15名からキャンセルが出た)の参加者とSDLコンソーシアム日本分科会メンバーの自動車メーカーなど関係者が集まって開始。今回、このハッカソンを用意して回してもくれるのはこの人。一般社団法人MAで株式会社アナザーブレインの久田智之さん。クルマとスマホをつなぐ国際規格SDLと今回のテーマ「SDLアプリコンテスト」やスケジュールなどを説明。

 続いて参加者全員の自己紹介タイム。写真は、コンテスト事務局として私が「グランプリの副賞はヤマハの電動スクーター“E-Vino”に決まったのですばらしいアプリを作ってコンテストにも応募してください」と喋っているところ。ハッカソン参加者の方々は、アプリ制作経験者に限定させていただいたこともあって自己紹介を聞いていると強者ぞろい。

 ストーブも到着。着火してくれているのはMETEORWORKSのかみやさん。いい人だ。

 11:00、車載開発キット「SDL DEVELOPMENT TOOLS」の開発元である株式会社ミックウェアさんから、SDLの開発環境についての丁寧なレクチャーが行われました。

 開発キットのデモ。

 開発キットの裏側。スマートフォンとは、USBまたはBluetoothで接続。電源のほか各種ケーブルでクルマと接続する。ただし、実車から参照できるのは、速度・パーキングブレーキ・リバース・イルミネーションに限られ、CANの情報を使う場合にはシュミレーターでテストすることになる(アスキーストアでこのあたりの情報を十分に提供しておらず更新予定です)。

 11:45、ハック開始!

 お昼をはさんで、引き続き開発について意見交換が各所で行われる。参加者は事前にSDLコンソーシアムが公開している技術資料に目を通してきてはいるものの開発キットを見るのは初めてという人がほとんど。開発環境のSDLシミュレーターに触れるのがはじめてという参加者もいたようす。今回は相手がクルマということで、新しいオモチャに触れるときの子どものような興味深々な感じとハッカソン独特の雰囲気がまじっています。

 SDLアプリの開発では、SDLコンソーシアムが「Manticore」というクラウド環境で動作するシュミレータを用意しています。ところが、世界中で使用するため時折混雑して使用を待たなければならないことが発生。そこで、手元でシュミレーターを動かしたほうが便利ということで、運営側でDocker Imageを用意していました。ふだんサーバー環境をあまり意識した開発をされていない参加者もいましたが、SDLアプリの開発環境もできあがり目的のアプリの開発が進められます。

 ちょっとしたアイデアを思いついても「その機能は〇〇という高級車にはあるよ」とほかの参加者がアドバイスする。そんなやりとりが繰り替えされて、今度は、発想を広げすぎると安全性がないがしろになってしまう。アイデアの産みの苦しみの時間もありました。しかし、そこはみんなディスカッションしていくうちに、さまざまなアプリのアイデアが固められました。

 18:00 チームごとに、どんなアプリを作る予定かアイデアを紹介しあって終了。

【2日目】アプリ開発・作品発表と表彰、そして……。

 2日目は、10:00からモクモクと開発。

 開発風景。車載開発キットのSDL DEVELOPMENT TOOLS は、クルマからの入力動作に関して不安定な部分がありまだ柔軟にデータをやり取りできない部分がある(当日も開発元のミックウェアさんが一部対応してくれたが、ハッカソン直後にファームウェアのVer.3-3を配信され改善された)。そうした制限のある中で、実際に車載するとその魅力を発揮するアプリを思いつき、接続・実装したチームがいたのは素晴らしいと思います。

 今回は、賞品としてSDLコンソーシアム日本分科会メンバーのメーカーから各社のノベルティ、ミニカーやタオル、グッズ類が提供された。

 15:00 開発終了。その後、各チームが開発した作品の内容をスライドや開発キットでの動作などをまじえながら発表。コミュニケーション(ソーシャル)系、燃費系、カメラ系、安全系、バイク向けの5つのアプリに対して、他のハッカソン参加者だけでなくメーカーの方も交えて質疑応答が行われました。

 コンテストに応募もされるかと思うので詳しくは書けないが、スマホのカメラを使ったアプリ。とてもシンプルだがいかもに便利なアプリだ(写真では画像が歪んでいるが)。

 ボトルメールとコミュニティを兼ね備えたアプリ。スマートフォンの通信機能とSDLの組み合わせで安全なコミュニケーションが可能だということを象徴する内容だ。車載器の画面にタッチするだけで音声のインプット状態になる。

 コンピューターとしてのスマホをフルに生かしたアプリ。クルマの燃費という発想ではなく移動にいくら使ったか? というユーザー視点である点が興味深い。

 「SDLは自動車だけじゃなくバイクもあるよね。カワサキさん来てるし。おれ Kawasaki 乗ってるし」と、ライダーが使えるアプリを開発したチームもあった。これも、バイクに乗っていた人なら「なるほど」というアプリ。

 発表が終わって、ひとまず2日目最後まで残っていた関係者の方々と一緒に記念撮影。うしろのクルマはかみやさんのRX-7で、開発に関わられたメーカーの方と話がはずんでいた。

 ハッカソンをモデレートしてくれた久田さんは、長野県からご自身のハスラーを走らせてきてくれた。そして、そのダッシュボードに車載開発キットを組み込み成功。

 スマホアプリが、車載開発キットの画面を表示してタッチできる状態になっています。これには参加者たちも「お~」と反応が上がっていました。

 参加者全員の投票で優勝も決まりました。新しい燃費系アプリです。おめでとうございます!

 終了後は、BBQで盛り上がりました。フードスポンサーの 株式会社ウィズテクノロジーさんありがとうございました。終わってみれば、とくに2日目は、アプリの詳細を決めていく過程で車輛情報に取得などについて活発な議論が行われていました。このレポート、久田さんの印象もお聞きしながらまとめまてみましたが、クルマとスマホが繋がる可能性を実感するホットで楽しいハッカソンでした。

 担当者の個人的な感想をつけくわえさせていただくと、クルマとスマホが繋がってどんな体験が得られるのか? はじめ考えたとき、どうしてもふだん使っているスマホアプリ的な視点から抜けだせなかった。ところが、カーナビの位置にスマホ側の画像が1枚表示されるだけで何かが変わる。「スマホでいいじゃん」と言われそうですが、クルマの中でパッとタッチするだけで使えたら便利です。AIスピーカーがスマホでできることをやっているのと同じなのかなと思いました。それが移動体になったら人の行動がともなうのですから社会的価値や広告や自治体との関係など可能性はスピーカーの比ではありません。

 (写真撮影:久岡写真事務所)

 (記事強力:久田智之 一般社団法人MAで株式会社アナザーブレイン

 (参考リンク:SDL User Group/ハカッソン参加者のFacebook Group

12/20 SDLアプリ・モクモク会+ハッカソン報告会のの知らせ

 12月20日(木)16:00~20:00、コンテスト応募者向け「SDLアプリ・モクモク会+ハッカソン報告会」を東京・飯田橋の富士見ビル(東京都千代田区富士見1-6-1、JR・東京メトロ「飯田橋駅」より徒歩6~7分)で開催します。

 SDLアプリを開発される方向けのモクモク会です。また、12月8日に東大阪で行われた「SDLアプリコンテストに応募しようぜハッカソン」のようす(どんなアプリが開発されたか、どんな課題があったか、車載開発キットの機能など)を共有します。

 参加費は無料で、途中参加・途中退出が自由な会です。参加を希望される方は、SDLアプリコンテスト公式ページの問い合わせ窓口からお知らせください。Peatixからも申し込みいただけます(https://lab-kadokawa75.peatix.com/)。

SDLアプリコンテスト http://sdl-contest.com/

【コンテストの開催概要】

■名称:クルマとスマホがつながる SDLアプリコンテスト
■主催:SDLアプリコンテスト実行委員会
   (事務局:角川アスキー総合研究所)
■協力:SDLコンソーシアム日本分科会
■募集内容:SDLを利用したAndroid、またはiOSアプリ
■応募期間:2018年10月3日(水)〜2019年1月31日(木)
■応募方法:コンテスト専用サイトにて( http://sdl-contest.com/
      以下を提出してください。
  (1)応募作品の動きがわかる動画および画像
  (2)作品内容の説明資料(PDF)
■受賞発表:事務局による事前審査の結果発表は、2019年3月上旬を予定しています。
      その後、最終審査会を兼ねた受賞発表・表彰式を2019年2月末に予定しています。
      事前審査通過者は、最終審査会でプレゼンテーションをしていただきます。
■賞・賞金等:グランプリ 賞金50万円+副賞
       特別賞   賞金10万円×5本

SDLアプリコンテストのグランプリ副賞はヤマハの電動スクーターE-Vino

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