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バージン、初の有人宇宙飛行に成功

2018年12月14日 09時56分更新

文● Erin Winick

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会社設立から14年、バージン・ギャラクティック(Virgin Galactic)がついに宇宙空間に到達した。

バージン・ギャラクティックのツイッターによると、同社の準軌道(軌道に乗らない)宇宙船「スペースシップ・ツー(SpaceShipTwo)」は高度82.68キロメートルに到達したとのことだ。この高度は米軍が宇宙と定義している高度80キロメートルを上回るもので、米国航空宇宙局(NASA)が宇宙との境界として設定している高度だ(付け加えると、搭乗パイロット2人が米国連邦航空局 (FAA)の商業宇宙飛行士の資格を取得するに十分な高さでもある)。ただし、地球上空100キロメートルという、国際航空連盟(FAI)が定めた地球の大気圏と宇宙の境界線「カーマン・ライン」には届いていない。飛行にはNASAのペイロード(積載物)も搭載しており、バージン・ギャラクティックにとっては初の収益となる。

今回の飛行は、VVSSユニティ(VSS Unity)と呼ばれる、バージン・ギャラクティックのスペースシップ・ツーの4回目の動力飛行試験であり、2018年7月以来の飛行となる。これまでの飛行時の燃焼時間よりも長い60秒間、ロケットエンジンを燃焼させ、これまでの最高飛行高度である52キロメートルを大幅に上回る高度を飛行した。

今回の飛行に漕ぎつけるまで、多大なる失敗を克服することはもちろん、細心の計画と設計、エンジニアリング作業に長い年月が費やされてきた。VSSユニティの旧バージョン「VSSエンタープライズ(VSS Enterprise)」は、2014年10月に墜落して死者を出し、大破した。バージン・ギャラクティックはまた、イーロン・マスク率いるスペースX(SpaceX)やジェフ・ベゾス率いるブルーオリジン(Blue Origin)などと、富裕層向け宇宙観光飛行の提供をめぐって競い合っている。

初となる宇宙到達は、何年間にも渡って 「もうすぐ」宇宙に行けるようになると約束し続けてきたバージン・ギャラクティックにとって重要な出来事だ。 ただし、準軌道飛行は軌道飛行と比べれば必要な能力は少ない。宇宙旅行の可能性を切り拓く偉業ではあるものの、 スペースXやボーイングが来年実現しようとしている商業乗員輸送とは大きく異なるものだ。

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