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クラウドビジネスの現場でありがちな「Tech vs. Sales」をひもとく

営業はなぜテクノロジーを味方につけなければならないのか?

2018年12月10日 11時50分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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 クラウドユーザーの本音が飛び交うJAWS FESTAでも異色な「クラウドは、テクノロジーは、営業の敵なのか?味方なのか??」という営業向けセッション。JAWS-UG Salesを大阪で立ち上げた逢坂文哉さんは、現場で避け得ない「Tech vs. Sales」というテーマで問題を提起した。

JAWS-UG Salesの発起人である逢坂文哉さん

営業が楽しむためのJAWS-UG Salesの立ち上げ

 「今日はAWSの話は一切しません」との断りからセッションをスタートしたNHNテコラスの逢坂さん。まずは営業向けコミュニティ「JAWS-UG Sales」について、「営業が楽しむためのJAWS-UGがあってもいいんじゃないのか」と立ち上げた経緯を説明した。

 7月に開催されたJAWS-UGキックオフの第0回では、「営業とコミュニティ」をテーマにしたLTなどで行なわれ、参加者30名のうち半数以上が営業だったという。また、9月に開催された第1回は「クラウドあるとき、ないとき」をテーマに、セッションとグループディスカッション、LTを行なった。会場提供元のCTCからの飛び入りもあり、最終的には45名くらいが参加し、挙手ベースで7割くらい営業だった。「東京や名古屋でも開催したいという声も出ているので、どんどん拡げていきたい」と逢坂さんは語る。

ネクタイを着けたサメが目印のJAWS-UG Salesのロゴ

 今回の逢坂さんの問題提起は、「これからの営業はテクノロジーを味方につけないとやっていけないのではないか」というもの。そのために営業の各プロセスで起こりうる「Tech vs Sales」をつまびらかにし、エンジニアと営業、テクノロジーと営業の関係について私見を交えて分析していくという内容だ。

エンジニアと営業はどこで対立するのか?

 一般的なSIerの営業プロセスは、リード獲得からスタートし、リレーション育成、案件化、ヒアリング、サービス選定、提案・見積もり、交渉・調整、契約、エンジニアへの案件引き渡し、プロジェクト管理、納品、検収・請求で一サイクルになる。これらはマーケティング、インサイドセールス、プリセールス、プロジェクトマネージャーなどに分業されることも多いが、地方だと営業が1人でやる場合もあるという。

 こうした一連のプロセスの中で一番重要なのは、「案件発生を循環させられるリレーションを作ること」だと逢坂さんは語る。その上で、うまく行かないプロセスは、サービス選定やプロジェクト管理が多いのではと分析。「ここがうまくいってないとTech vs Salesになりがち」と逢坂さんは指摘する。「営業は技術のことを知らないし、わかろうともしない」(byエンジニア)と「エンジニアはビジネスのことを知らないし、わかろうともしない」(By営業)という典型的なTech vs Salesの対立構造に陥るわけだ。

サービス選定があかんために失注するケース

 これに関して営業の逢坂さんは、「面白い、新しい技術で、誰もクリアしたことないようなこの課題に挑戦できる。このシチュエーションがエンジニアの最大のパフォーマンスを引き出す」と信じているという。もちろん、十分な時間と失敗したときに営業が守ってくれるという信頼関係があればという条件付きだ。「営業はエンジニアをモチベートするテクノロジーを知っておくべきではないか」(逢坂さん)というのはまさに金言と言える。そして、エンジニアがモチベートするテクノロジーを知らないと、前述したように「サービス選定」のプロセスでエンジニアと営業の意識のずれが出てきてしまう。

 オンプレミス+自社サービスという時代から、クラウド×OSS+自社サービスの時代に変化しているのもポイント。「クラウド×OSSはまさにかけ算で拡張しているので、自社のサービスや実績にこだわっていたら、お客様の要望や夢はいつまで経ってもかなえられないです。こだわらなければ、意外とあっさりかなってしまうかもしれない」と逢坂さんは語る。また、逢坂さんは「機能やコストだけではなく、運用や組織改革まで視野に入れた最適な提案じゃないと、お客様から評価されない時代になっている。これはAWSの功罪だと思っている」と指摘する。

クラウド×OSSの分野にフォーカスし、エンジニアのやる気を引き出す

営業はクラウド×OSSの良質な翻訳者であるべき

 こうした現場の動向を考えれば、エンジニアの好物が集まる宝庫であるクラウド×OSSの分野については、営業も知識が必要になる。「営業はクラウド×OSSの良質な翻訳者であるべき。お客様のニーズとリテラシを把握しつつ、最新のテクノロジーを投入し続けて顧客のリテラシー自体を向上させていかなければならない」と逢坂さんは訴える。

営業はクラウドとOSSの良質な翻訳者であるべき

 逢坂さんは、冒頭掲げた「なぜ営業が最新のテクノロジーを味方につけなければならないのか?」という疑問に対して、「エンジニアをモチベートするため」「勝ち続けるため」「テクノロジーを翻訳するため」という持論をまとめる。「サービスができること、得意なことだけではなく、できないこと、得意じゃないことまで知らないといけないと思う」(逢坂さん)。

 では、どうやって知識を得ていくか? エンジニアのように実際にサービスに触れてみるという手もあるが、営業にとっては障壁も高い。そのため、ファーストステップとしては、「自分が知らないことを知ること」で、外の営業やエンジニアと話すと理解できることが多い。もちろん、「誰がそのテクノロジーについて詳しいか」という目利きも重要だし、「知ることは楽しいということを知る」のも必要だ。「で、JAWS-UG Salesがあります。ここに営業の人たちを足を運んでもらえばと思います」と逢坂さんはまとめ、コミュニティを活用し、テクノロジーを味方につけようとアピールした。IT業界のクラウドシフトで大きな影響を受けつつ、なかなか本音が見えなかった営業が声を上げたセッションということで、非常に興味深い内容だった。

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