今回のことば
「VAIOはPCのブランドから、次世代ITのブランドに変貌を遂げる。これを実現するコアバリューは、国内および海外に通じるブランド力と、安曇野でのモノづくりにある」(VAIOの吉田秀俊社長)
PCは必要だが、それだけじゃ生き残れない
2014年7月にソニーから独立して4年を経過したVAIOが、新たな成長フェーズに入った。
2018年5月に終了したVAIOの2017年度の売上高は前年比10.8%増の214億8800万円、営業利益は13.9%増の6億4800万円、経常利益は13.4%増の6億5000万円、当期利益160.5%増の4億8200万円と、2桁の増収増益を達成。
VAIOの3代目社長として、2017年6月からVAIO復活に向けて陣頭指揮を執っている吉田秀俊社長は「堅実に、成長路線に入っている」と総括。
最終利益が大幅に伸張したことについては、低価格帯の製品を絞り込んだこと、借入金がないことが影響しているとする一方、主力のPC事業のほかにも、第2の柱へと成長を目指すロボットなどによるEMS事業が売上げ成長に貢献。第3の柱として、VRを切り口に新たに始動したソリューション事業も成果が出始めていることを強調してみせた。
成長要因が複数にまたがることは、PC事業による一本足経営からの脱却が少しずつ進んでいることの証といえるだろう。
吉田社長は「独立後の1~3年目のフェーズ1は、うまく過ごすことができた。短期決戦は乗り切った」と前置きし、「この1年間は、社員240人という限られたリソースにおいて、これからの成長戦略をどう組むべきか。そのためには、なにが足りて、なにが足りていないのか。これを見極める1年だった」と振り返る。
そして、「キーボードと大きな液晶ディスプレーを持ったPCはこれからも必要である。その点で、PC事業が核となって、将来のVAIOを支えることは間違いない。5年先も、10年先も、VAIOのPCは存在することになる。だが、PC事業だけでは生き残れない。強い事業構造がないと生き残れない。その仕込みを、いかに速くできるかが大きなテーマである」とする。
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