このページの本文へ

食品の「栄養成分表示」徹底を消費者庁が急ぐ理由

2018年12月06日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部,鈴木洋子(ダイヤモンド・オンライン

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷
食品栄養表示
Photo by Yoko Suzuki

 クリスマスや正月用品の年末商戦で忙しいスーパーなどの小売店や食品メーカーに、今年は“ちょっと厄介な訪問者”がやって来るかもしれない。

 消費者庁は、12月1日から31日までの間、「食品表示の全国一斉取り締まり活動」を行う。全国の自治体と連携し保健所を実働部隊として、30万以上の施設への立ち入りを行い、食品表示が適正になされているかチェックする。

 消費者庁は食中毒が起こりやすい夏休みや、実家への帰省などで人の移動が多い年末年始に、主に食品の安全性に関わる事項について小売店やメーカー等に立ち入り調査と食品表示違反の取り締まり活動を行っている。

 例年は、生肉などの食材を十分に加熱しているかなど、食中毒防止の観点で行っているこの年末取り締まり活動。今回は、離乳食への蜂蜜使用で起きた死亡事故の再発防止策として、蜂蜜製品に対する表示のチェックが行われる。さらに、今回が初めてとなる「栄養成分の表示義務」のチェックも検査項目に加わった。

小規模メーカーでも義務に

 実は食品表示法の改正により、2015年4月1日から加工食品のほぼ全てに対してカロリー、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウムの栄養成分表示を行うことが義務化されている。

 改正法施行後の移行猶予期間として、2020年3月までは表示義務が免除されているが、今までの所あまり普及が進んでいない。このため「従来よりも強い姿勢で取り組みを強く要請する」(消費者庁)形で取り締まりをすることにしたのだという。

 ちなみに、個人経営でこの表示義務から免除される小規模事業者でも、その商品を大手小売店で販売する際にはこの義務がやはり課される。

 つまり地方の直売所で作られた漬物のようなものでも、それがイオンなどの大手小売店で売られ一般消費者に広く流通するような形になるのであれば、すべて栄養表示を行わなければならなくなるのである。

遅れている日本の食品表示

 20年3月以降は、事業者名を公表しての指導が入り、これに従わない場合は法人に対しては1億円以下の罰金、個人に対しては1年以下の懲役刑等もあり得るという。

 現在は移行期間中のため、この取り締まりで違反が発覚しても業者名の公表や罰則などは適用されない。だが、実質的には消費者庁による初めての実態調査であり、表示ができていない事業者の情報は消費者庁に把握される。食品メーカーからすれば「ブラックリスト」に載ることは何としても避けたいはずだ。

 だが、「分析を行うためのコストは事業者持ちとなるし、表示をしたからといって売り上げが伸びるわけでもない。小規模メーカーでは対応できないところも多いのではないか」(食品業界関係者)という恨み節も聞こえてくる。

 実は、食品表示に対する規制強化はこれだけではない。栄養成分表示に続き、22年3月には原料原産地表示の移行猶予期間も切れる。さまざまな産地から調達した肉や果汁などの原料を、使用量に応じて商品に表記することを義務付けるもので、複数の国から原材料を調達することの多い大手メーカーにとっても影響は大きい。

 食品表示の規制強化に動いている日本だが、諸外国と比べるとまだ緩い方だ。例えば米国では、日本では義務化されていないトランス脂肪酸やコレステロールについても表示義務がある。

 食品の安全・安心に対する消費者の関心がますます高まる中、食品表示をしっかり守れないメーカーは淘汰されていくだろう。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 鈴木洋子)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

カテゴリートップへ

最新記事
最新記事

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

アスキー・ビジネスセレクション

QDレーザー販促企画バナー

ピックアップ