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インドネシア格安航空事故、自動失速防止システムが原因か

2018年12月04日 06時33分更新

文● Charlotte Jee

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10月にジャワ海に墜落し、189名が死亡したライオン・エア610便を操縦していたパイロットは、墜落の数分前、同機に搭載されていた自動システムへの対応に追われていたことが、インドネシア国家運輸安全委員会が11月28日に発表した暫定報告書によって明らかになった。

パイロットは、ボーイング737マックス8型機に搭載されている新しい自動失速防止システムと格闘していたことが、フライトレコーダーのデータから分かった。操縦特性向上システム(MCAS)として知られているこのシステムは、飛行機が失速する可能性があると感知すると、自動的に飛行機の機首を下げることになっている。10月29日、610便はジャカルタの空港を離陸後わずか15分で墜落したが、その短時間の間に26回以上も機首が上下していたことをこのシステムは示している。ボイスレコーダーはまだ回収されておらず、このシステムを解除するためにパイロットがどのような行動をとったのかは不明である。

墜落事故後、ボーイングは航空会社に対し、自動的に機首が下がる動きへと繋がることとなる、センサーからの誤った情報にどのように対処したらよいか助言するメモを配布した。11月28日に発表された声明では、機体は「これまでの飛行機と同様に安全」であることが強調されていた。

一方でボーイングは、事故機は飛行に適していなかったとするライオン・エアの安全記録に関する報告書に、疑問を呈している。また、墜落事故前日に同じ飛行機を操縦したパイロットも技術的な問題に遭遇しており、なぜその飛行機が運行に戻ったのか疑問を投げかけている。

インドネシア当局はまだ墜落事故の調査中であり、今後数週間にわたって詳細が明らかになっていくと予想される。ボーイングは現在、自動失速防止システムの欠陥が事故の原因であるとする、犠牲者の親族からの3件の訴訟に直面している。それにもかかわらず、今回の報道を受けた同社の株価は値上がりしている。

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